x game
後藤ゆりあちゃん & 松原隼人くん
【3-1】女王様とワンコみたいな関係性の男女。ドアに手を挟んで負傷した所を、男子生徒がそうっと撫でて、手の甲に軽くキスされる。上目遣いで心配してくる男子生徒を下僕ではなく男の子として意識してしまう。
【3-2】失恋したばかりの彼女、いつも相談に乗っていたので報告される。報告している途中に堪えていた涙が溢れ。実は彼女に片想いしていて思わず彼女を抱きしめる。
……どうしてこんなことになったのかしら。
………は?(「これは後藤さんにしか無理なの!」とあまり親しくないクラスメイトに拝み倒す勢いで来られたのは、今朝の事。登校して机に鞄を置いた瞬間、やってきた相手に押し付けられるように渡された紙には女王様だのワンコだの書かれており。よくは解らないが、自分が女王様に向いていると思われている事だけは解った。思わず絶句していると、無言は了解と受け取ったらしい相手。「じゃあ、放課後よろしくね。」と颯爽と去って行った。――授業が終わり、捕まる前に逃げ出そうとした後藤。しかし、相手の方が一枚上手だった。面白がった他のクラスメイトをも巻き込んだ包囲網に捕まり、このクラスに自分の味方はいないのか…と呆れ半分、絶望半分。溜息を吐いて、もうこうなったら自棄だ。相手にされるがままに、校内をあちこち連れまわされる。相手役、とやらが見つかるのはいつになる事やら。)
ノーと言えないタイプっすか?
(放課後。退屈な授業も終わって部活に向うために支度をしていたら、隣の席の女子生徒に協力してほしいことがある、と言われた。)や、別にいーけどよ…俺これから部活あるンだけど。(切羽詰まった相手に、自分ができることなら協力したいとは思ったが、スポーツ推薦で入学した手前、部活をサボるわけにはいかない。「大丈夫、すぐに終わるし…バスケ部の顧問の先生と部長には私から遅れるって連絡してあるから。」周到すぎる根回しに感心しながら「それならいーぜ」と快諾。「じゃ、これ」と渡された紙を見る。)これ俺がやるのか?ム、結構難しそうだな…。(言われるがまま一緒にやってくれる人を探し回ることに。松原としては誰でも良いので、たまたま目に入った女子生徒2人組を指差して)あの人でいンじゃね?おーい、そこの人ー!(頼んできた生徒を置いて、単身特攻。)これ、俺とやってくれませんか?(渡された紙を読めるように広げて差し出しながらビシっと頭を下げて)
そうじゃないけど、今回は言う暇を貰えなかったの。
(片腕をホールドされて校内を歩き回る間に、今回の意図とやらを聞かされる。未だ納得はしていないものの、理解はした。そして廊下を歩いていれば、走ってきた男子生徒。差し出された紙を読んで、隣の彼女を見る。にっこりとした作り笑いに内心溜息。)………いい、けど。私のも手伝ってもらえる?(とポケットに入れていた紙を取り出して彼に差し出そう。「動画撮影のおまけつきだけど、」との呟きは、彼に聞こえたのかどうかは解らないが。)2-3の後藤ゆりあ。貴方は?(名前もわからないと呼ぶにも困るので、とりあえず…とその場で自己紹介を。そして彼が名前を教えてくれたのなら、この場でやるのは得策ではないと判断して。)こっち。(廊下の少し先にある空き教室に向かうつもりで歩きだそう。)
あれだ!おとし…める?おとしれる?みたいなヤツ!
あざーッす!いやー、助かるぜー。(嬉しそうに笑ったところでポケットから出てきた紙を受け取り目を通す。女子高生が2人、ぴったりくっついて歩いていたのに、仲が良さそうに見えないのが不思議だった。相手も同じような依頼を受けていたと思えばそれも納得できる。)なるほどな。これもスゲーむずそうだけど、精一杯やらしてもらいます!(またも深くお辞儀をして、)あっ、俺は1-7の松原隼人っていいます。3組とかめっちゃ頭イイじゃん!すげぇ…。(動画のくだりは聞こえなかったようだ。彼女の自己紹介を受けて松原も同じように名乗って、言われるがまま空き教室へ向おう。松原に依頼した生徒もちゃっかり付いてきている。)そーだ、コレ、どっちからやります?(と、さっき受取った紙を掲げながら)
クラスメイト巻き込んでの攻防戦だったしね(笑)
(体育会系なのだろうか?そんな印象を受ける彼は自分とは対称的なタイプのようだ。解りやすく嬉しそうな表情を浮かべる彼に、ばれないようにこっそり笑みを浮かべた。)…うん、ありがとう。(深くお辞儀する彼に律儀だなと思う反面、ワンコという言葉が似合うと思ってしまったのは申し訳ないが許してほしい。)松原くんね。……凄いって程じゃないと思うけど。(だって、まだ上はある。が、7組という彼が自分より勉強が得意ではないらしい事は明白で。自分ではそうは思えないが、凄いと見えても仕方ないのだろうか?なんて不思議に思った。言い方がつっけんどんなのは、怒っている訳ではなく後藤の通常仕様だが、彼にそれが伝わるかは別問題。空き教室に向かう中、一人人数が増えたが彼に依頼をした部員だろうとあまり気にすることはせず。)そうね……メイク崩れるから、私の方先でも良い?(確か彼のシチュエーションでは自分が泣かなければいけない筈だと。そして全員が教室に入れば、)早速スタートしても良いの?(要は早く始めて早く終わらせたい、と。)
1対39とかえげつねー…やっぱ頭イイヤツは怖ェな!
いや十分スゲェって!後藤センパイは謙虚なんスね!(学力では部活仲間にバカにされることが多いのでそんな事を。しかも言ってくる仲間も5組や6組なのだから目の前の彼女には及ばないのに。)それもそーっすね!っつーか、ガチで泣く演技やるのか…女優っすね(容姿から受ける第一印象通り、クールな人だなと思った。きっとこの演技も無理やり頼まれて、嫌々やらされることになったんだろう。それでもやるからにはきちんとやるという真面目さに感心しつつ。)よしやりましょう!(早く終わらせたいのは部活前の松原にとっても同じこと。彼女の声に明るく答えて。ワンコということは、彼女の後をついて歩く舎弟みたいなものなのだろう、それっぽく「俺が持っときます!」と鞄を預かって、彼女のすぐ後ろに立つ。部員を差し置いて監督っぽく)よーい、アクション!(カチンコがないのでパンッと手を叩いて)
1対39は流石に勝てないわ(笑)
謙虚…うーん、(彼の言葉に苦笑するものの、傍で笑いを堪えているクラスメイトには笑うなとでも言いたげな視線を。)それは流石に無理、目薬使うわよ。(女優と言われればくすくすと笑って、ポケットから目薬を取り出して彼に見せよう。何もない所で泣けと言われても無理である。好きでやっている訳ではないし、少々自棄にもなっているが、やる以上は真面目にやってしまうのが後藤である。)え?ありがと。(言われれば鞄を預けて。普段ならそんな事はしないが、シチュエーション的には間違っていないだろうと。そして彼が手を叩けば、扉を後ろ手に閉める。)…った。(実は挟んでなどいないけれど、そこは演技である。そして彼が手を叩くところから、クラスメイトがスマホで動画撮影をしていた。)
それで勝ったらマジで校内最強ッすね(笑)
あれ、俺なんか変な事言いました?(2人の表情を見比べて、不思議そうに首を傾げ)あーなるほどなァ!いやホントに素で泣き演技できたらどうしようかと思いましたよ、俺の棒演技が際立っちまう!(あっははー、と豪快に笑って。馬鹿だけど一生懸命な松原、足は引っ張りたくないという気持ちもあった。)はいはいー!(あくまで演技なのでお礼を言われる事でもないけれど、気前よく返事をして。松原の合図で実演が始まった。彼女の反応がそれっぽかったので、フリではなくて、本当に挟んだのかと勘違い)ごっ、後藤センパイ!!だいじょーぶっすか!?(オーバーリアクション、という言葉が似合う声の大きさで。2人分の鞄を小脇に抱えた状態で、彼女の肩を抱くようにして一番近い席に座るよう促す。そこに腰かけて貰えたなら、松原はしゃがんで挟んだであろう手の甲を何度もさすって。その所作は明らかに「そうっと撫でる」ではないけれど。次に軽くキス、と書かれていたが急に恥ずかしくなり、顔が真っ赤に。少し間を開けてから、ゆっくりと唇が触れた。)センパイ…痛みますか?(眉を八の字にし、かろうじて心配そうな表情を見せるも松原自身がそれどころではなさそうで。)
そんな称号欲しくないわ(笑)
気にしないで。松原くんは何も悪くないから。(不思議そうな様子の彼に首を振って。)心配しないでも大丈夫よ、私だって棒演技だから。(ふ、と安心させるように笑って。後藤だって演技は未経験なのだから。――実演が始まれば、手を扉に挟むフリ。あくまでもフリだという事は彼も理解している筈、オーバーにも見えるリアクションは演技なんて慣れていないせいだろうと。肩を抱くようにされれば少しばかり驚いて目を見開いたものの、彼に促される様に椅子に座る。手に触れられれば「撫でる」というよりも「擦る」という方がぴったりくるその様子に彼に気付かれないよう笑って。ふと彼を見れば真っ赤になったその頬。不思議に思ったが、紙の内容を思い出せば気付く。「あ、」と小さな声が出たのと彼の唇が触れるのは同時だった。)……だい、じょうぶ。(彼から視線逸らして、そう言った。一呼吸おいて、彼の方を見て。そっと反対の腕を伸ばしてしゃがむ彼の頭を撫でて。「ありがと、」)
でしょーね(笑)男なら最強とか最高に憧れるけどなー!
(気にしないで、と言われれば「そーッスか?」とぱちぱち瞬き。安心させるためなのか微笑んでくれたので「うっす」と松原も笑い返し。オーバーなリアクションも、肩を抱くという指示にない行動も、アドリブではなく自然と出たもので。必至なので彼女の驚いた様子にも気が付かない。手に口づけた時、一瞬聞こえた彼女の声に内心ビビったが、もう後には引けない。視線を逸らしてくれたのは松原としてもありがたかった。少し間が空いて、目が合う。伸びてきた手に反射的にきゅっと目を閉じて、頭を撫でられればくすぐったそうにはにかみ)なら良かったッす!(そう言うとぱっと明るく笑顔に。)よしッ、こんなモンでいーだろ!(すくっと立ち上がると動画撮影をしていた部員に問いかけて、OKをもらうと)っつか、後藤センパイ、マジで大丈夫ッすか?(まだ本当に挟んだと信じているようだ)
じゃあ、松原くんがやってみる?1対39(笑)
(演技が始まって。演じるつもりではあったが、台詞等細かい事が指示されている訳ではない。だから結局後藤が演技らしきものをしたのは最初の扉に挟めたフリだけで、後の行動は全て自然と出たものだった。視線逸らした事も、頭を撫でた事も、驚きと羞恥と何故か感じた可愛らしさからきているもので。――彼が声を掛け、OKを貰うと動画を撮っていた部員は「明日の朝、2-3で上映するんで良かったら見に来てね。」と屈託のない笑顔で彼に告げ。それを聞いた後藤は反対にげんなりとした表情。彼女は後藤が手を挟めていないと知っているようだ。)え?大丈夫って何が?(その声は先程までよりも少々つっけんどんに聞こえるかもしれない。後藤としてはキスされたことに対して言われていると思ったので、本当に手を挟めたと誤解されているなんて全く気付いていなかった。)
2-3が相手だと頭脳戦になりそうなンで無理ッす!(笑)
(部員から笑顔で上映会の話を持ち掛けられると、「マジ!?」とかなりびっくりしている様子。先輩の言う事だから拒否は出来ないが、隣でげんなりしている彼女と同じように、松原としても好ましくはない。目立つという点では問題ないが、まさかあんな恥ずかしい演技を大勢に見られるなんて、と気が遠くなった。)え?何がって、手…え?(挟んだことが演技であると、ここで気付いた模様)あッ、!もしやあれも演技!?いやー後藤センパイ、さすがッす!天才!(なぁーんだー、と明るく笑って。)じゃ、ちゃっちゃと次のもやっちゃいましょか!(先と同じで、「よーい、アクション!」とやはり手を叩き。)センパイ…例の彼と、上手くいきました?(前の演技よりは落ち着きの感じられる口調で首を傾げて。彼女の方から好きな人に告白した、というシチュエーションを想定して、何となく聞いてみた風に。)
じゃあ、自分のクラスでだったらやる?(笑)
(そうなのだ。クラスメイトが面白がって部員に味方した理由、それは上映会をすると彼女が宣言していたからなのである。その様子から彼は目立つことは嫌いではなさそうだが、恐らくこれは目立つの意味が違う。後藤同様の表情を浮かべる彼の肩をぽん、と叩いて。諦めろ、とごめん、と。両方の気持ちを言外に伝えたつもりである。)え?(彼の様子に何かずれている、そう感じた。ずれの理由に気付いたのは彼の方が先だった、明るく笑う彼の言葉に誤解していたことに気付けば苦笑浮かべて。それは間違っていた事と大袈裟に褒められて少しばかり擽ったいのと両方で。)うん。(と声掛けれられればポケットから目薬取り出して、準備。彼の合図でスタート。落ち着いた口調で話しかけられれば一度彼に視線向けて、逸らして。)……ダメ、だった。(ここで目を閉じて。涙―本当は目薬だが―が後藤の頬を伝った。)ごめん、いつも話聞いてくれてたのに。(それらしく、と思って台詞を足してみて。)
やる!と言いてェ所だけど、脳筋が多いンで無理ッす(笑)
(視線が合ったかと思いきや、すぐに逸れる。彼女からゆっくりと発せられる言葉と揺れる瞳、松原の表情にも陰りが現れて。)そッか……(頬を伝う涙を指で拭うとその手で肩を引き寄せ腕に閉じ込めるように。付け足された言葉に松原もアドリブを入れようと、)いや、センパイが謝る事じゃねッすよ。こんなイイ女振るなんて、アイツがどうかしてるンすよ。(やや俯き加減でいつになく静かな口調で囁きながら、慰めるように彼女の背中を撫でて、そのまま静止――少し間を開けると、ゆっくり彼女から離れて。依頼主である女子生徒に)どーよ?完ぺきだっただろ!(相手が同級生なので有無を言わせない感を出しつつ問いかけ、身長差が残念だなんてツッコミはあったけれどOKらしかった。再び彼女に向き直ると)センパイ、ありがとーございました!(と深く頭を下げよう。照れはあるが今は達成感が勝っている様子で。)
なんだ、ちょっと見たかったのに(笑)
(涙を指で拭われれば、少しばかり顔を彼に寄せて。引き寄せられれば目を閉じて。彼のアドリブ、背中を撫でる仕草に小さな声で「ありがとう。」多分、彼にしか聞こえない声量だろうけれど、見ている彼女たちに伝わるように少しだけ大袈裟に口を動かして。――そして彼が離れていけば、彼が部員と話しているうちにとポケットからハンカチを取り出して濡れた顔を拭う。OKを貰えれば後藤もホッと息を吐いて。)こちらこそ、ありがと。無茶言ってごめんなさい。助かったわ。(頭を下げる彼に、体育会系だなと思いながら苦笑。終わった事に安堵してはいるが、恥ずかしさもあってどんな表情をして良いか解らなかった。だから、浮かんだのは苦笑だった。――これで依頼は完了だ。これ以上何か付け足される前にと満足そうな笑みを浮かべる部員達と彼に「じゃあね、」と声を掛けたならさっさとその場を後にしよう。)
わっ、センパイって意外とSなトコあるンすね!
いやいや無茶だなンて!確かに上映会にはビビったけど、なんとかなって良かったッす!(女子と密着する機会なんてあんまり無いので最初こそ不安だった。彼女の苦笑の意味は知る由もないけれど、終わってしまえば達成感と解放感とで爽やかに笑み。早々にこの場を立ち去る彼女には「ウッス!」と元気に声を掛け、ブンブンと大きくてを振って見送って。ふと教室の掛け時計を見れば慌てたように)やッべ、もうこンな時間じゃねェか!じゃー俺、部活行くから!(飛び出す様に教室を後にして廊下を掛けだす、途中で先生に注意されながらも最短距離で部活動へと向かって行った。)