x game
渋谷依子ちゃん & 白鳥春樹くん
【5-1】放課後、異性友人に教室で待ってるよう言われた。どう考えても自分に気のある相手で、それは告白としか思えないような雰囲気。夕陽をバックに窓際にもたれて待っていたら、友人が来る前に気になる彼が現れて、「あいつと付き合うの?俺にしときなよ」と耳元で囁くとカーテンで隠す様に覆われ、耳に軽くキスされる。
【5-2】好きな人と二人きりで話しているとき、相手に思わずぽろっと「好き」って言われ、まっすぐ相手を見て「今、なんて?」と聞き返す。何も言わず俯かれたので、顎クイをして「もう一回言って」と迫る。
んんっ胸キュン大好き!キュンキュンしたい~!
(とある日の放課後。帰ろうと下駄箱へ向かう廊下にてゆったり歩く女一人。『そこの乙女!』そんな言葉で振り返った自称乙女。「えっ?なになに~よっこのこと呼んだ~??」可愛らしい女の子は数多といるけれどもここまで自意識過剰なのはこの女くらいか。まあ他にこの廊下には人がいなかったんだけども。見知らぬ人から話を聞けば漫研でシチュエーションの再現をしてほしいとのことでエキストラを探してるらしい。『あなたなら出来る!』『そのオーラは隠せない!』『ビューティフォー!』あからさまなヨイショでも気分が良いので「よっしゃ!よっこちゃんに任せなさい!」と二つ返事で受けてしまった。渡された紙に視線を落とせば)あ~~~~すき!よっここういうの好きだよ~わかってるぅ~!(爆萌え。「で?相手は?」と問うたら自分で探せって丸投げされた。邪魔にならないよう隠れてるから探して来いと軽くあしらわれた女。当てもなく一人で彷徨った挙句、とりあえず自分の教室を覗いてみた。誰かいればラッキー。いなくてもちょっと休憩しよう。早い小休憩である。)
ただしイケメンに限るとか言うんだろ、どうせ。
(数日前から屡々視線を感じていた。奇妙に思いながらも実害は無かったので放って置いたが、或る日の放課後遂に其の人は教室に現れた。「成程、最近やたらこっちを見てたのは此の為だったんですね。」相手は面識の無い男子生徒、三年生だと言っていた。漫画研究部の校内コンクールの手伝いをして欲しいと、如何にも少女漫画なシチュエーションの書かれた紙を渡された。相手が親しい間柄であれば此れをネタに弄り倒す所だが、流石に知らない先輩相手でそんな事は出来ない。変に言い包めようとするよりは、さっさと終わらせてしまった方が速いだろう。乗り気では無いが了承する。相手はまだ決めて居ないと言うので、此方で指定させて貰う事に。教室から出て廊下を見回すと、見慣れた少女が八組に入って行く姿が在った。自分のクラスに戻るなんて忘れ物でもしたのだろうか、とにかく自身にとっては好都合だった。「あの子にします」と、彼女の後を追って一人教室へ。)あ、よっこ今帰り?一緒に帰る?(先程手渡された紙はポケットに隠し、偶然を装いつつ)
当たり前でしょ???イケメン求むだよ。
くっ……みんな帰りやがって……(入った教室内に人影はない。相手探しの出鼻は挫かれた。どうしようもなくなった女はとりあえず自席へと座った。さてどうしたものか。頬杖をついて、はあっと溜め息を一つ。センチメンタル乙女を気取ってみた。そんな折、不意に掛けられた声に振り返れば)はるるんじゃん~よっこまだ帰らない~一緒に帰れない~かなぴ~(だるだる~っと今度は机の上に上半身を投げ出して。それからまるで愚痴を零すかのように口を開けば)ねぇ、聞いてよ~漫研の人にさ??なんか頼まれてさ??演技しなきゃいけないんだけどぉ~~一緒にやってくれる相手いないんだよぉ~~(チラ。チラチラ。わざとらしい説明口調にわざとらしい視線。欲しがりな女の罠は丸見えだ。)
わあ超素直、さすがよっこ、ぶれないなー(棒読)
(誰の席かは知らないが、彼女の前の席に腰掛けて)えー、折角廊下の端から端まで歩いて迎えに来たのに。(「よっこのクラス遠いんだよなあ」まるで責める様にそんな事を。遂には突っ伏してしまった彼女の姿にくすくす笑いながら零れる愚痴に耳を傾ける。)漫研に?演技を?何故?…ああ、そういえば廊下に校内コンクールのポスター貼ってあったよな。胸キュンだっけ。(同じ依頼されている事は隠匿し、納得した様に頷く。彼女の演技も自身と似たような小恥しい物だろうと予想は付いた。チラチラと視線を向けて来る彼女に思わず笑ってしまう。)あはは、相手いないなら俺がやってあげるよ。代わりによっこは俺の言う事一つ、何でも聞いてくれる?(自身の依頼も一緒にやって貰いたいだけだが、反応を楽しみたくて変な言い方をしてしまう性格は健在で。)
顔が良いは正義!よっこも美人に生まれたかったよぉ~
(彼の動きを視線で追って、目の前の席に腰掛けたことで同じ高さになった。とても見やすい。)ええっ!?まだごっこ続いてんのぉ~??も~~やだよぉ~~あんまり乙女の心弄ばないでーー!(うわーん。泣き真似しては机に突っ伏す。別に泣いてやしないからすぐに顔を上げるのだけれど。「でも迎えに来てくれたのは嬉しい、嬉しいんだよ、もうっ!」八つ当たりである。)そう。胸キュン。胸キュンさせてくれる人募集中なう。……ほんとっ!?はるるんやってくれる!?わーーーありがと!(ばっと顔を上げればキラキラと輝く瞳は感謝しかない。見知った相手であれば心強いと勝ち誇った表情を浮かべていたのだけど)ちょ、変なコト要求しないでよね!?でもまあ、うん。協力してくれるなら、よっこもお願い聞いてあげるよ。よっこに出来ることなら、ですけど!(最後を強調。出来ないものは出来ないとバッサリ切ってしまわぬよう念を押した。というわけで)見て!これ!これやらなきゃいけないの!(ずいっと彼に見せたのは渡された説明書き。紙に記されているのはわりと細かく書かれたシチュエーション。)……これできる??やばない??(紙と彼の顔を交互に見た。何度も何度も。出来るかどうかは彼次第というより女の心臓がもつかどうかにかかってそうだ。)
美人ではないけど可愛いから良いんじゃない?
(彼女の性格を鑑みて、どう考えても演技であろう泣き真似からの一連の動作。其の姿に嘱目しつつ紡ぐ言葉にくすくす笑いながら「ごっこでも結構楽しいでしょ?だから時々やろうね。…よっこって本当、ツンデレだよなあ。」なんて。此方の悪戯に毎回聢と乗ってくれるが、其れに対し彼女が如何思っているか深く考えた事は無かった。本気で厭われている様に見えないのは彼女の優しさかも知れない、何となくそう思っているが結局甘えているのだ。)俺相手でよっこが胸キュンできるかはわからないけど、それくらい全然良いよ。(素直に喜ばれると此方も顔が綻ぶ。矢張り「何でも」が引掛るのか予防線を張る彼女に「大丈夫、出来ないことは頼まないから」とさり気無く失礼発言。提示された説明を声に出して読み上げ、前に姉に読まされた少女漫画にこんなシーンあったなと思い出す。紙と自身を交互に見る姿にふふっと可笑しそうに笑って)確かにこれはやばいな…うん、この異性友人は山田君にしよう。(出来る、返事の代わりに登場しない第三者を命名し、)俺が教室に入る所からやれば良いよな?速く終わらせて帰ろう。(言うが早いか立ち上がると一旦教室の外へ。扉の隙間から教室を覗いて居た二人の生徒と一瞬目が合った。一人は先程自身に依頼してきた生徒、もう一人は恐らく彼女に依頼した生徒だろう。自身も室内を伺い彼女が移動するのを待つ。)
やっぱ??だよね~~よっこ可愛いもんね!
はあ!?ツンツンしてません~~いっつもデレてますぅ~~!!(言葉尻を取れば食い掛かって反論。くわっと目を見開いた。女曰くデレデレのデレらしい。彼の悪戯にはなんだかんだ言いつつも付き合ってしまうから手遅れもいいところ。振り回されるならこちらも振り回すまでだ。)胸キュンさせるつもりで来いよぉ~~ごっこの延長だと思えばヨユーっしょ!(やっとこ見つけた相手を逃がすわけにはいかないと女も必死。なんなら彼の手を握っては掴んで離さない勢いだ。「フンッ!よっこに不可能はありませーん!」売られたケンカは買ってしまう。ハッと我に返ったときはもう言葉を紡ぎ終えていた。)声に出して読まないでよ!?ハズいじゃん!?(ひえっ。びっくり。ばばっと紙を奪った。「山田ね山田……ハイハイ。さっさと帰りましょーね。」動揺の色を見せているのは先ほどから自身ばかりだと気づいているけれど、認めるのは癪だから相変わらず強気に席を立ち窓際へずんずんと大股に足を進めた。それから指示通りに窓際に背を預ければちょうどよく夕陽も差し込んできた。)……山田、天才かよ。(ぽつり。零した言葉は続いた「はあ~~山田の奴ぅ。さては告白だなぁ~??」なんてわざとらしく大きな声でセリフを発した。準備オッケーのサインである。)
いや、そうなんだけどさあ、なんかこう…惜しいよなあ。
(何となく落した言葉が盛大に拾われ捲し立てられるとは、予想外の反論に吹き出してしまう。常にデレてるだなんて何処が?と此方としては言いたい所。けれども笑うのに忙しく其れも敵わなかった。其の態度も彼女の神経を逆撫でするのだろうけれど。漸く落ち着いた所、握られた手と何やら挑戦的な物言いに此方も対抗心を燃やしたのか、笑みを消し真剣な面持ちに。)わかった、ちゃんとやるよ。(真直ぐ彼女を見つめ宣言する。然し続く彼女の言葉に表情は容易く崩れ、屡々見せる意地の悪い笑顔を浮かべる。はっとしたような彼女には気付かぬ振りをし「へええー、本当になんでもやってくれるんだ」と、それはもう態とらしく楽し気に。――何でも無い様に教室を出たが此方も緊張はする。はあ、と俯き深く息を吐いたら、彼女の大きな独り言が聞こえた。其れを合図とみて扉を静かに開け「あ、よっこ」と声を掛ける。逆光で彼女の表情は窺えないが其の侭彼女の隣、窓際に凭れる。彼女が何か言う前に此方が口を開こう)山田はさあ、良い奴だと思うよ?でも…(此処で間を作り身体ごと彼女に向き直ればカーテンを引く。少しだけ開いた窓から入り込む風に靡き、ふわっと広がった。)俺にしときなよ、(少し屈むようにし耳元で呟くと、口付け…の予定だったが、どうも自身には出来そうに無い。どうせ漫研部員からは見えないのだ。代わりにちょっとした悪戯心で、ふうっと優しく息を吹きかけてみた。なんと恥ずかしい台詞だと面映ゆく感じつつ、カーテンを引くタイミングが指示と違ったな、と冷静に反省しつつ。さて彼女の反応は―)
うるせいっ!おとなしくなったらモテすぎて困っちゃうでしょっ!
(山田を待つ女。来るはずがないとわかっているのに、寧ろ山田以外が来るとわかっているのに、山田を待つ。サインを送って、迎え入れるはもちろん彼の姿。でもちゃんと指示通りに不思議そうに首を傾げては)あれ~はるるんじゃん?どうしたの?(なあんて、わざとらしく尋ねてみるのだ。けどまあ次の語句はあっさり彼に主導権を握られてしまった。隣の彼に顔を向けて視線を投げかければ、その刹那。ふわりと靡くカーテンの中へと引き込まれた。と同時に放たれた言葉には、どくんと心臓が脈打ってしまったわけで。わかっていても破壊力は半端なかった。)ひゃっ…!ちょ、なにするの!?(耳元へくすぐったい息か吹きかけられびくりと肩を震わせた。真っ赤な顔は怒りによるものだと言い聞かせながら彼を見上げる眼差しは抗議の色を含めて、両手で両耳を塞いだ。ばくばくと未だに高鳴る胸を飼い慣らせずに、この状況から逃げ出そうと)これでオッケーだよね!?さっさと帰ろう!?(耳から離した手がカーテンを掴んで、帰路に着こうと一歩踏み出した。ちょっと彼の顔はもうしばらく見られそうにないから、視線を合わさない様に俯き加減で。)
自分でモテを制御するとか意外に器用だなあ(笑)
(怒った様な、慌てた様な彼女の姿を見ていると此方は冷静で居られた。彼女の反応を見る限りでは、胸キュンさせると云う目標は達成できたように感じられたのだが。)ああ、ごめんごめん、擽ったかったよな。…やっぱりちゃんと、キスしてほしかった?(息を吹きかけた時の反応は予想通り。怒っている様にも見えるがそれだけでは無い、というのは多少の自惚れも有るけれど。いつもより若干低めの声音で追い打ちを掛ける様に煽って仕舞うのは持ち前の性格の悪さ故。俯きながら早々に帰ろうとする彼女の肩を後ろからぽんと叩く。)うん、早く帰りたいのは山々なんだけどね?(ポケットから四つ折りに畳んだ紙を取り出せば彼女に見える様に広げながら、先と同様に内容を読み上げる。)俺のお願い、今聞いて欲しいんだ。(穏やかな笑みを浮かべながらも有無を言わさぬ眼光を放っていた。自身も一歩踏み出して彼女の傍らに立ち「少し雑談をしよう」と、取り留めの無い会話を始めるのか。)
よっこは可愛いから自分で気を付けないとダメなんですぅ~
はっ はあ!?そ、んなわけないじゃん!!(言い淀みつつ反抗を示す声色は怒気が混ざってはいるが戸惑いの色の方が強いものとなって。それと同時に顔面が熱くなるのも感じだ。可愛らしい反応なんて女には出来やしないけど、まんまと彼に掌の上で転がされているのわけで。素直に出来ない自分のひん曲がった性格に辟易した。)………。なぁ~~んだ。はるるんも同じようなの頼まれてるんじゃん~?難しいお願いかと思って身構えちゃったよ。(あっけらかんと笑い飛ばせば二つ返事で了承。ふむふむ、その内容は?と耳を傾け一連の作業を頭に叩き込んだ。彼との雑談に於いて、どのタイミングで言うべきなのかちょっと困った。思ったよりも難しい。取り留めのない会話だけれども女はそわそわ。はあ、溜め息。上手く出来なくて申し訳なさそうに視線を持ち上げ彼の瞳を覗き込んだ。)……すき。(何の脈絡もなく零れた二文字に自分でもびっくりして、ぱちりと瞬いた。)
へえー。じゃあ若しかして、今彼氏いるんだ?
(此方の狙い通りに動揺して貰えて楽しくない訳が無い。声を荒げて否定して来る彼女に堪え切れず笑い声を上げて、漸く収まった所で「ごめんごめん、冗談だよ」と告げる。疲れる位に笑ったので、はあと大きく息を吐いた。先の演技で疲弊して、此方のお願いは渋られる可能性も考えていたが、あっさりと快諾されたので安堵の表情を浮かべた。―会話の中で思わず、と云うのは相当難しいだろう。此方も其の言葉を誘発する話題がぱっと思い浮かばず、申し訳無さも内心。彼女の表情に陰りが見えたので此方は緩く微笑み其の侭根気良く話を続けよう。と、)…え、(遂に彼女から発せられた言葉。油断して居たのか一瞬面食らったような表情を見せるも直ぐに立て直し、彼女を真直ぐに見つめて指示通りの詞を)今、何て?
………。………。………うるせぇ(怒)
(いい様に転がされっぱなしの女も、他愛もない会話をすれば怒ったり笑ったりを繰り返して。彼との会話は相変わらずコロコロ表情を変えられてしまうから良いダイエットになりそうだ。表情筋がフル稼働。──それから零れ落ちたセリフに自分でもびっくりしたけども。流れとしてはバッチリだったか、彼から規定通りの言葉が返って来れば我へと返って、ぱくぱくと唇だけを動かした。この後はどうするんだっけ?何にも覚えてない。どうしよう。パニクった頭のまま彼の瞳から逃げるように視線は落ちた。こういう流れであっても、この二文字を紡ぐのは照れるというもので。耳まで真っ赤に染め上げれば、何も言えずにただやり過ごそうと決め込んだ。)
わっかりやすいなあ、それもモテ女の戦略?(笑)
(同じ言葉を再び引き出そうと聞き返すも、当の相手から言葉が出て来ない。返事が無いのは指示通りだが、あわあわとして余裕の無い様を見るに単に演技をしていると云う感じでは無かった。彼女が伏目がちになっても、真っ赤になっているのが分る。彼女へ向けていた目線を一度逸らして小さく息を吐く。ワンテンポ遅れてそっと手を伸ばし、彼女の頬を緩く撫で下して顎に掛けて。其の侭ゆっくりと持ち上げるようにして彼女の双眸を再び見つめ直す。目が合ったとしても逸らされたとしても、紡ぐ言葉は唯一つ。)もう一回言って。(言うと顔ごと近づけよう。吐息が掛かりそうな距離まで詰めれば、気を使ってか将又緊張の為か、呼吸を止めていた。――紙に書かれていた指示は此処まで。もう演技は終わりにしても良いと云うのに、自身も其れを忘れ彼女の返答を待とうと。)
モテ女は戦略なんか立てなくてもモテるんだよッ!
(俯いてやり過ごそうと決めてから物音に敏感になってしまった。布の擦れる音、彼の吐息、そして温もり。頬に触れたその指に、ぴくりと肩を揺らすもまだ視線は落ちたまま。その指が女の顎を持ち上げるから、アッと思ったときにはもう彼から視線を逸らせなくなってしまった。)……ッ、!(息を飲むほどの近距離に、これが演技だとわかっていても心臓はバクバクと鼓動を打ち鳴らす。ずるい、敵わない、いつだって彼はそう。また冗談だの演技だの言われるのが関の山だとわかっていても、バカな女は期待してしまうのだ。だったらいっそへし折ってほしい。)……すき。すき、だよ。(きゅっと瞑った瞼、頬は真っ赤に染め上げ、紡いだ言葉は彼のリクエスト通りのもの。もうどこからが演技かそうじゃないのかさえわからなかった。)
天然のモテ女?冗談でしょ、養殖女子だよね?(笑)
(肌に触れた指先から、肩を揺らし僅かに身を硬くしたのが伝わって来た。少し躊躇ったが、指示通りにそうっと壊れ物を扱う様に彼女を此方に向かせたなら、互いの視線が交差する。普通では無い異様な此の状況、彼女の顔ばせに此方にも普通では無い感情が湧き上る。しかし其れは飽く迄も吊橋効果の様なものだと我を諫めて気持に蓋をする。閉じられた瞳を静かに見つめていたら、いつもの明朗快活な彼女とは違う声色で、待望んだ言葉が耳に届く。此方から求めたと云うのに、いざ聞いてしまうと無性に気恥ずかしく、小さな風が巻き起こりそうな位の素早さで、間近に迫らせていた顔と顎に掛けていた手を彼女から離そう。)…よくできました。(視線を若干逸らし乍穏やかに言って微笑むけれど、いつもの様に上手く笑えているか自分では分らない。体中の熱が顔に集中している様で、彼女程では無いにしろ此方も頬に紅差している。胸の内を悟られぬよう、教室の扉へ向き直り。)お疲れ様、もう帰ろうか。(今は少しぎこちないが、外の風に当たればきっと元通り、そう信じて―)
おいコラ養殖女子に失礼だろーがッッ!!
(告げられた褒め言葉に、ハッと我に返る。雰囲気に飲まれていたことを自覚すれば今度は否応なしにぼぼぼぼっと顔面は火が出そうなほど熱く赤く火照った。ぱんっと両手を自身の頬に押し当て)あわわわわわ。これ!ぜーんぶ演技だからね!(わかりきったことを強調する姿は滑稽極まりないけれど慌てふためく自称乙女の意地は相変わらず。改めて荷物をまとめて彼の言葉に応えれば教室を後にしよう。一歩この空間から抜け出せばきっとまたいつもの二人に元通り。「ちゃんと送ってってよね!あ~~クレープ食べたい!」なんてデッカイ独り言もオマケして。ガハハと大きな声で笑う姿はもういつも通り。先ほどまでの胸の高鳴りなんてどこへやら。──彼との別れ際。「さっきちょっとだけドキッとしたよ!」とだけ告げれば、悪戯をした子供のように満足気に微笑んで踵を返し家路に就こう。非日常なシチュエーションお疲れ様でした、なんちゃって。)