(秋晴れの清々しい10月の或る日の事。彼女の誕生日はとっくに過ぎている、プレゼントを渡すにも今更なのだろうが、其れはもう、素直に謝罪する他無いと覚悟を決めた。イエローのリボンに同色の文字でブランド名が刻まれたネイビーの小さな紙袋を大事そうに抱え、放課後早急に彼女の教室へ向う。HRを終えたばかりの教室は生徒も多く騒がしい。誰かが出た後なのだろう、扉は開いていたので其の侭中へ。彼女が気付く前に、静かに近寄り、ぽんと肩に手を置いて、)よっこ、約束通り迎えに来たよ。帰ろう。(にっこりと意地の悪そうな笑みを浮かべながら彼女の帰り支度が終えるのを待つ。其れは所謂、彼氏面という奴だ。勿論ぐるちゃの内容は質の悪い冗談だが、あの時彼女が全く動揺しなかったのが余程悔しかったらしい。此処まで乗れば驚いてくれるだろうと云う魂胆だ。)…それと、これ誕生日プレゼント。遅くなってごめんな。(抱えていた紙袋を差し出す。中にはラベンダーの香りのハンドクリーム。其れが彼女の手に渡ったったなら、雑談でもしながら供に帰路に着こうと。本物の彼氏では無いから、手を繋いだりはしないけれど――)

(不意に触れた感触に肩をびくりと震え上げたら、聞き慣れた声の方へと顔をくるり向けた。約束通りの彼の登場に安堵するもその表情を見遣れば意地の悪そうなソレに、察した。騙されたのだ。してやられた女は、はあっとでっかい溜息を零し帰り支度を始めよう。ぐるちゃが来てからソワソワしてしまった時間が虚しい。ちょっとでも信じてしまった己が悔しい。完全に彼に乗せられて浮かれた滑稽な女の出来上がりだ。律儀に渡される誕生日プレゼントを受け取れば)はるるんアリガト!えらいね〜ちゃんとプレゼントくれるなんて!(さも何でもないように笑った。紙袋を持って、帰り支度を終えたカバンを手にすれば、このままなんて悔しいから。彼とつく帰路だけは彼女面してその隣を歩くのだろう。両手に荷物を抱えたら手なんて最初から繋げやしないのだ。)