2月15日  夜 


お部屋にも浴室はありますが、せっかくの旅館なので3階にある大浴場がおすすめです。
たまには裸で語り合うのも良いかもしれませんね。

松原隼人

熱いお湯は苦手だ…


(1日目の授業はすべて終わり、晴れて自由の身。楽観的な松原は、夜は卓球をして部屋で枕投げをして…と遊ぶことだけ考えていた。同室の友人は「別部屋に用があるから後から行く」と言っていたので、1人で大浴場へ。久しぶりの温泉に気分上々だ。普段はシャワーだけで済ませてしまうので、今日はゆっくり浸かろうと決めていた。洗い場で身綺麗にしてから浴槽へ。思ったより湯が熱く、つま先からゆっくりと浸かる。ゆっくり、といっても日ごろ熱い湯に浸かることがないので直ぐに顔が赤くなって、そろそろ戻ろうと立ち上がった時、ぐらりと視界が揺れる気がした。のぼせたか?と思いつつシャワーで体を流して脱衣場へ。何とか浴衣には着替えたが、温度差のせいか更にひどい目眩がしてそのまましゃがみ込み、)


白鳥春樹

熱すぎる銭湯って稀にあるよなあ。釜茹での刑みたい(笑)


(好き嫌いは別として得手不得手で考えるならば数学は得意な方の部類に入る。最後に行った確認テストも問題無くのんびりと解説を聞いて過ごした。一緒に入浴をと知音の友から誘われたが温泉は一人でゆっくり入りたい派の白鳥は「えー、君とか、嫌だなあ。」と歯に衣着せず断り相手の心を抉る。勿論深く知る仲だからこそ言えた事なのだが。そうして一人訪れた大浴場。別段疲れてはいないが矢張り湯に浸かると身体が緩む。ジェットバスやら露天風呂やら一頻堪能し、ほわほわと湯気を上げながら脱衣場へ出る。着替えを済ませ髪を乾かし珈琲牛乳でも、と暖簾を潜ろうとした所でしゃがみこむ金髪の少年を視界の端に捉えた。そっと近づくと彼の背中に手を添え同じ視線の高さになる様屈み顔を覗き込んだ。)…どうしたの、具合悪くなっちゃった?(長湯で逆上せたのか将又湯あたりか、水を買いに行こうか等と考えつつ様子を伺うのか。)


松原隼人

釜茹で…こりゃ美味しいスパゲッティになっちまうな!


(楽しいことを考えているとつい忘れてしまうが、今日は丸一日数学漬けだったので、普段使わない頭を使った疲労が響いたようで。湯船に浸かること自体慣れていない上、披露や水分不足諸々が重なったらしい。しゃがんで静かにしていると少しずつだが症状は引いてきた。そんな折、細身の少年に声を掛けられ、背中を優しく触れられて。覗き込む彼と目が合うと、)あ……ハハ、ちーっとばかしのぼせたみたいッス。すぐ良くなると思うンで、ちょっとこのままで様子見ます!びっくりさせてすんません!(情けねェなと内心思いながら、火照る顔はそのままに、心配はかけまいと笑いながら軽いことのように返答して。普段は声の大きい松原だが、本調子でない今は自然とトーンを落として「お気遣いあざっす!」とできるだけ明るく付け加えて。)


白鳥春樹

俺はスパゲッティよりうどんの方が好きだな。


(明るい声色で彼は言うが実際の所は如何なのか量り兼ねていた。相手は初対面なので其の言葉を鵜呑みにして良いのか判断材料が少なすぎた。構い過ぎは御節介になるが放って置いて悪化したら寝覚めが悪い。取敢えず身体を支えなければならない程では無い様なので「少し待ってて」と呟く様に声を投掛けると彼から離れ暖簾を潜る。出て直ぐ傍に在る自販機でミネラルウォーターを求めた。再び脱衣場へ入り洗面化粧台でタオルを濡らし固く絞ってから彼の元へと戻る。矢張り視線を合せる為に屈むと「はい」と水を差出し)冷たいから、ゆっくり飲んだ方がいいよ。(彼に受取って貰えたなら次は濡れタオルを?に当てよう。)君、数学ばっかりやってて知恵熱でも出たんじゃない?(ふふふ、と小さく笑いながら茶化す様な声色で告げる。完全に偏見だが派手な髪色の友人に数学が得意な者がいないので彼もきっと数学が苦手なタイプだろうと予想しての言葉だがはてさて。)


松原隼人

うどんウマいけど俺はミートスパゲッティ派だなァ


(待つように言われればポカンとした顔で「あ、ハイ」と生返事をして。彼が出ていくのを見届けると少しでも楽な姿勢になろうと、ぺたんと座り込んでうなだれて。そうしているだけでも回復に向かっていた。少しすると人の気配がして。顔を上げると目の前に彼の姿が。)ん、ありがとーございます、ごちそーさんです。(差出された水を素直に受け取ると、今度は後ろ首にひんやりとしたタオルの感触が。それが心地よくへにゃりと表情を緩めて。貰ったペットボトルのキャップを回し口に含み、言われた通り口内であたためてからゆっくりと飲み込んで。)マジでそれな!俺バカだからなー。やっぱ慣れないことはするモンじゃねェってこったな。っつーか…なにからなにまでホントすんません。おかげで大分よくなりました、もう大丈夫そうッス!ありがとうございました!あ、俺、1年の松原隼人っていいます。(意図せずとはいえ引き留めてしまって申し訳ないと思いつつ。相変わらず座り込んだままだが、きっともう少し待てば普通に歩き回れるだろう。お礼を伝えつつニカっと笑って、そういえばまだしていなかった自己紹介をここで。)


白鳥春樹

なんかわかるなあ。子供っぽい食べ物好きそう(笑)


(緩々と服する姿を見るに此方の話を素直に受け止めてくれたらしく無意識に表情を緩めた。初対面の相手に少し意地悪を言ってしまったが全然気にして居なさそうな彼の態度に安堵したのか調子に乗ったのか笑みを深くした。)あはは、馬鹿って自分で言っちゃうんだ。まあ君はがり勉君よりもスポーツマンっぽいもんね?(まるで運動をしていない白鳥の体格と彼の其れを比べれば一目瞭然だ。勉学は自身の方が得意そうだが運動に関しては真逆だろう。――大丈夫、と言われれば未だ不安は残るが御節介を焼く程でも無いのだろう。お礼の言葉と彼の自己紹介ににっこりと微笑み)そう、良かった。松原、隼人…ああ、君が。(其の名前にピンと来たのはノートで頻繁に見かけた名前だったから。書き込む事は少ないが読んでは居るのだ。)俺は白鳥春樹。君が大丈夫って言うなら俺はもう行くけど…気を付けるんだよ。明日も頑張ろう。じゃあまたね、隼人。(彼に倣い名乗った後、彼の名前を呼びさらりと頭を軽く撫でてその場を立ち去って行った。)