中庭

これからの時期は、中庭で過ごすのはちょっと寒いかな…?

(お昼休み。心もとなげに中庭のベンチに腰掛けた少女が一人。普段は教室で昼食を摂るのだけれど、持ってくるのを忘れた飲み物を調達して戻れば、自身の席は、すでに他の生徒の物となっていた。前の席の生徒と昼食を摂るために、自身の椅子を使っているのだ。内気な自身には、退いてほしいと声をかけることも、自身の席にかけておいた手提げかばんから、お弁当を取ってくることも難しかった。さらには、小銭入れに入れていたお金は、たった今買ったミルクティーを買うので精一杯。悩んだ結果、お昼休みが終わるまでの間、中庭のベンチでぼんやりすることに。ぴゅう、と吹いた冷たい風。揺れたおさげをそっと抑えつつ、ぼんやりと空を見上げよう)

風邪ひくと大変だから防寒はしっかりしないと!

(中庭のベンチでお昼を摂っていた最中、斜め向かいのベンチに座っていた女の子がお弁当を置いたまま立ち上がりどこかに行くのが視界に入る。何か忘れ物をしたのだろうか?そう思いながら最後の一口を口に入れた。お弁当を食べ終えた後、のんびり過ごしていると少し離れたところで先程見かけた女の子を発見。何故戻らずに立ち尽くしたまま空を見ているのか、そう思い彼女が座っていたベンチを見ればすでに他の生徒が座っていて。その横に置いてあるお弁当は彼女のだろうか?もしかして取りに行きづらいのかな?そう感じた彼はベンチへ行ってお弁当を取って来たなら彼女の方へと歩いて行き)はい。これ、君のお弁当だよね?(気さくな笑みで尋ねながら持っていたお弁当を差し出して)

マフラーを巻いたり…厚着したり、ですね…!

(どれくらいぼんやりしていただろうか。いつまでもここにいるわけにはいかない。あのベンチに置きっぱなしにしてしまっているお弁当箱はあとで回収することにして、教室に戻って本でも読んでいよう――そう思ったところで、こちらに近づいてくる男子生徒。やや小柄で幼い顔つきの彼は同い年の人だろうか。きょとんとした様子で彼を見つめていると、差し出されたお弁当箱)えっ……、あ……えっ?…はい。私のです…!え……お弁当箱が…瞬間移動…?(それは紛れもなく自身のお弁当箱。びっくりしたように目を丸くして、ベンチと彼を見比べる。動揺していたこともありついつい間の抜けたことまで口にしてしまうが、彼がしてくれたことに気付けば、少しずつ表情を和ませていって)…あ…ありがとうございます…!あの…わざわざ届けにきてくれたん、ですよね…?(頬を赤らめはにかむようにしつつ、お弁当箱を受け取って。大切そうに小さな包みを抱きしめてから、彼を見上げて問いかけようか)

手袋と帽子もあると完全防備完成!

(驚いている彼女とは対照的に人懐っこい笑顔の彼。)そうそう、俺の手の中に瞬間移動!……なんちゃって。(動揺を少しでも和らげようと彼女の言葉に対し楽しげにノってみる。和んだ表情を見るとほっと安心して。先程のおふざけなノリも意味があったのならいいな、そう考えて)いいんだよ、気にしなくて。俺がしたかっただけだから。それに……取りに行きにくいよね、あれは。(チラリとベンチに座る生徒を見てから顔を彼女へと戻し、へらりと緩んだ笑みを見せて)僕が座ってる所で良かったらおいでよ。(お弁当を食べ終えた手前、一緒に食べようとは言えなかった。けれど、昼休みの間彼女とお話したいな、と思ったのか、座っていたベンチへと歩き出した後彼女に手招きするのか。)