freddie

(かぼちゃの奴が活躍する行事に興じて―)

(着こんだオレンジのパーカーの裾には地味に猫のしっぽがプリントされて、よくよく見ればフードには耳が付いているような…―軽く鼻歌を歌いながら喫茶店の扉を開こうか)フレディ初めてかも…!(そう言いながら比較的広いスペースの席に向かおうか。壁際の隅っこに腰を下ろせばソワソワとした様子で外の様子が覗ける窓を遠くから眺めているのだろう)さってと…どれくらいの人くるんやろ。…つか、一人も来んかったら…いや!!ネガティブはいかん!!(ぺらぺらとメニューに視線を移し眺めながら「お、うまそう」なんて呟くのだろう)

日本のハロウィンって最近急に盛り上がり始めた気がする。

(普段freddieの表に出されているボードにはお勧めのメニューが書かれているのだが、本日に限っては「雛ノ森学園生Day 本日に限り雛学生以外の方、賑やかな雰囲気が苦手な方はご遠慮ください」と書かれていた。数日前に後藤がfreddieでお茶会をする計画があるとの話をした所、店長がこのように取り計らってくれたのだ――。今日の後藤は少し急ぎ足で出勤。店の奥でいつもより忙しなく、しかし丁寧に仕事着に着替え髪を結わけばホールへ出てきて仕事を始め。店長が何やら不思議そうな顔でこちらを見ている気がするが、気にすることなく普段通り接客対応を。)…そういえば、あれってどうやって集合するんだろ。(仕事の合間にそんなことに気づいてぽつりと。店内を見渡してもそれらしい集団はおらず、他の店員に聞いても何も知らないと言う。「まぁ、矢吹くんと簑島さんが来たら同じ席に通せば良いか。」なんて心の中で思うのだ。)

本当は…外国のイベントですもんね…。

(緊張気味でカフェの前に立つ少女が一人。放課後は部活が終わり次第真っ直ぐ家に帰る少女は、寄り道なんて一度もしたことがない。休日であっても、一人でカフェに行くなんてこともまったくない。さらには、にぎやかな席に参加することだって、まったくといっていいほどない。たくさんの“はじめて”にどうしたらいいのかわからない状態で、カフェの前に出されているボードを読んでいき。膝まであるスカートのすそをきゅっと握り締めながら、しばらくしり込みをしていたものの、ふっと頭をよぎったのは、“オフ会においで”と声をかけてくれた学園の生徒達。ノートに綴られた温かな文字に励まされるように、少女はそっとカフェの扉を開いて)……あ(そこでようやく、自身はほとんどの学生と初対面であることに気付いた。よって、この集まりを主催してくれた生徒さんがどの人か、このカフェに入ってどうしたらいいのかもわからない。戸惑った様子で胸の前で手を握り合わせ、辺りを見渡そう)

秋の収穫祭と魔よけの儀式、でしたっけ?

……ここでいいんですよね?(時折友人達と立ち寄るfreddieの前のボードを確認して1人呟いた宮元の格好は上下とも黒で統一しており、ハロウィンを意識してかアンシンメトリーのミニスカートワンピースはウェスト部分が編み込みになっており、胸元を赤い細いリボンで結んだふんわり袖のボレロを羽織り、インソールの編みこみのブーツを履いてほんの少しだけ魔女テイストを入れたつもりである)うん、行くしかない(ほぼ話した事もない初対面の学生と出会うことに不安が無いといえば嘘になるが出会うことの楽しみもあり、両手を小さく握り気合を入れる声が無意識に零れ落ちた)こんにちは。オフ会があると伺ったのですが……(入店し忙しくしている女性に声を掛けた時に周りを見渡している少女の姿が目に入り、軽く会釈しにこりと微笑んで)

へー、そうなの?悪戯し放題の日じゃないのか。

(時折覗くノートにひと際目をひく文章があった。文字だけのやりとりだった人たちと、出会う機会がまさかあるとは。本当にやるのか?半信半疑のままとりあえずカフェへ向かおうか。―――カフェのボードに目をやる。「…ほんとにやるんだ」小さく声を漏らす。くすっと小さく笑みを零して、いざ店内へ。その時丁度、直前に入店した少女から「オフ会」の言葉が発せられた。そしてすぐ近くには図書館でお話しした少女が。)…あそこじゃないかな。ね、お姉さん。(その言葉は3人に向けて。お姉さん、とはどうやら夏休みに話した少女に向けた言葉らしい。年の近そうな猫さんパーカーの彼をそっと指差し)

コスプレして盛り上がってるイメージしかないもんね。

(ほぼ書いたことがないノートのオフ会。それでも見知った名が行くと言っていたからこの男も参加を決めてみた。今ではすっかり常連になったこのカフェに足を運べば、入り口の看板には本日のことを知らせる書き込みがあり、繁々とそれを眺めてから店のドアをくぐるのだ。)ゆりあちゃん、こんにちは。今日はバイト?せっかくだから、一緒に混ざろうよ。(接客をしていた彼女にそう声を掛けて誘ってみよう。)ちょっと遅れたかな?まだ大丈夫かい?(そう声を掛けながら人が集まっているところへ足を向かわせて。「鈴ちゃんは久しぶりだね。」と見知った顔には挨拶をするのだろう。)

盛り上がれるのは良い事だ。…羽目を外しすぎなけりゃ。

(ゴーイングマイウェイを地で行くというか、世間の波に疎いというか、行きつけのカフェでなにやら楽し気なイベントが催されるとは露知らず、ただいつもの如く挽きたての珈琲目当てに店の前までやって来た。そこでようやくボードに書かれた注意事項を目にしたならば、僅かに首を傾げながらも扉を開いて中へと入り)なるほど…確かに賑やかそうだ。――お、幸い隅の席は空いているな…今日はあそこに座るとしよう。(着席と同時にブレンド珈琲を注文し、雛学生達の楽し気な笑い声をBGMに手持ちの雑誌をパラパラ捲る。目の下の黒子以外に特徴らしい特徴が無く、髪も衣服も全体的に黒系統なこの男、ともすればまるで背景のように周囲へ溶け込みそうである。仮に誰かが話しかければ反応するが、そうでなければ気が済むまで居座った後、来た時同様ひっそり店から立ち去るだろう)

でもこういうイベントってつい羽目を外しちゃうよな

光がモタモタしてるのが悪いんだろ!(入口前で弟と言い合いをしている簑島。予定時間より遅れてしまった為走ってきたので少しだけ息を切らしていた。けれど、すぐに呼吸は整うくらいの体力は持ち合わせているようだ。表のボードに気づけば、「今日って雛学生の貸切?」と弟へ問う。ゆっくりと中へ入ると思ったとおり既に始まっており賑やかで楽しそうな雰囲気が伝わってきた。見知った顔が今の所後藤さんしかいなかったが、躊躇する事なく皆の輪の中へ入りこんばんは、と挨拶を。後藤さんには久しぶりと気さくに手を振って。)

羽目を外しすぎないってどの程度ならOK?

姉ちゃんだって遅かっただろ!(走りながら何度姉と言い合いをしただろうか。それでも案外疲れていないのは体力馬鹿といったところだろう。尋ねられた事に、「そうなのかも?」と曖昧な返事を返し姉に続いて中へ入っていく。初対面の人ばかりに少しだけ緊張したのか足が止まってしまったが、その間にも姉がさっさと行くものだから慌てるように着いて行く。雪野さんを見れば知ってる人がいたと嬉しそうにこんばんはーと声をかけて。この中に同じ名前の彼がいるのかな?と見回しながら探してみるのか。)

他人に迷惑かけない程度じゃないですかー?

(今日は楽しみにしていた日だ。授業が終わって早々にフレディへ来ようと思っていたのだが、友人に呼びとめられ立ち話。気付けばそれなりの時間が経っていて。友人に別れを告げれば足早にここへやってきた。店前の看板をしげしげと見つめれば楽しそうな表情浮かべ、ドアを開けた。――店内を見渡せば賑やかなグループ。恐らくこれが例の集まりだろうとテーブルに近づこうとして、隅の席に座る客に気づいた。声をかけても良いのかその場で思案。が、挨拶位は…と彼の座る席に近づいて。)ワッシー先輩、お久しぶりです。お一人ですかー?実は今日お茶会があるんですけど、先輩も興味があれば参加してください。じゃあ、僕はあっちの席に行ってるので。(ぺこりと頭を下げて彼の傍を離れれば、人が集まる席へ向かおうか。)すみません、遅くなりましたー。僕もいれてもらって良いですかー?