体育館

よっしゃぁあ!!授業終わったー!

(放課後――部室へと向かった杵原は、今日は部活がないという事実をすれ違った上級生から聞いた。既に体を動かす気満々だったのでこの有り余った意欲をどうしたもんかと思いながら体育館の脇を通りかかったようだ。
ふと地面に向けていた視線を上げれば体育館では部活に精を出す学生たちの姿があった)球技、なぁ…バスケって身長伸びんねやろか(ぼーっと開け放たれた出入り口から館内を眺めながら「楽しそうやなぁ」なんて呟くのだろう)

あらぁ、元気いっぱいねぇ。

(のんびりとした歩みで進む体育館脇、出入り口で立ち止まり中を見つめる姿が視界へと入れば緩やかに首を傾けた。そっと背後から近づき真似るように中へと視線を移せば見えるのはどうやら部活中の生徒たちのようで、)伸びる可能性はあるらしいけど、確実に伸びる訳じゃないらしいわねぇ。(聞きかじりの知識を歩みと同じくのんびりと口にすれば自分より少し低いだろう彼へと視線を移した、背伸ばしたいのかしら、なんて呟くような疑問を口にしながらにこやかに笑い掛けて)

そら!今から部活っすよ!めっちゃウキウキやないですか!!

(背後に近付く人の気配を感じ、ちらっと視線を向けるが自分の知る人物ではないので気にせず館内に視線を向け直し独り言で呟いた。その言葉に返事が返って来たことになんの違和感もなく)そうねん!ばーちゃんらは伸びるって言うけど連れは伸びひ…っ!?(うんうんと頷いて会話を成立させていたが一人であるはずなのだがと思いっきり肩を揺らし、体を反らし後方に意識を向けるのだろう。そこには自身より長身の女性が立っていたよう。先ほど背後で見かけた人だとは気付くほどの余裕もない杵原はしどろもどろなりに平静を取り戻そうと思いっきり息を吸い「っぱぁー。びびったぁ」と息を吐くのだろう)背ぇ…伸ばしたい、んス。目標2メーターやしね!(笑顔を向け問う彼女に歯を覗かせながらの笑みを向け力強く親指を立ててみせるのだろう)

凍結