保健室

あーーサボりたい!!てかサボる(笑)

(もうすぐ休み時間が終わるというとき、やって来たのは保健室。渋谷のクラスが次の時間受けるのは英語。この女、英語が大の苦手である。つまり、出たくないということ。)せんせー!大変大変!お腹めっちゃ痛い!!生理痛!乙女の日!もー痛くて無理無理〜〜〜!!休ませて〜〜〜〜!!(大袈裟に生理痛をアピールして入室するも、そこは蛻の殻。どうやら、会議が長引いているらしい。そんなメモが残されていた。これはラッキーと言わんばかりに、カーテンを開けてベッドにダイブ!)はあ〜〜〜〜ゴロゴロ出来るってしあわせ〜〜〜(眠るわけでもなく、ただ休みたい一心で目を閉じた。)

授業がすごくしんどいときって、どうしてもありますよね…。

(先生に顔色の悪さを指摘されたのは、つい先ほどのこと。授業の終わりの際に提出物を持っていったところで、心配されたのだ。自身としては少し頭が重いかな、くらいにしか考えていなかったが、授業を受けるのがつらいと感じていたのも事実だ。保健室に行くようにすすめられれば素直に頷き、少しおぼつかない足取りで保健室へ)しつれいしま、(入室する際に発した小さな挨拶は、室内にいるらしい誰かの声にかき消された。面喰いながら声のする方向へ目をやると、どうやらベッドに誰かがいるようだ。戸惑いながら室内へ足を踏み入れると、先生が残したのだろうメモを発見し。それなら少しだけ待たせてもらおうと、スカートを抑えつつ長椅子に腰掛ける。先生の帰りを待つ間、ちらりと視線を向けたのは先ほど人の声がしたベッド。彼女も体調が悪いのだろうかと心配しつつ、声をかけることはせずただ静かに座っていて、)

でしょでしょ!?しんど〜〜〜ってなったら休みたいもん!

(ベッドでごろごろ。幸せである。そんな折、不意に聞こえたドアを開ける音。目を閉じていたため、余計に吃驚してしまった。思わず大きく肩を揺らして。彼女が発したであろう声は、この女の大きな独り言によって掻き消され、自身の耳には届かなかった。これは注意されるのでは?と身構えて、生理痛でお腹が痛い子のフリ。をするも、暫く経っても何もなく。先生が帰ってきたわけでもなさそうだ。まさか、オバケ?と不安になりながら、物音を立てずにベッドを移動。そっとカーテンの隙間から覗き込めば、そこには長椅子に座る女の子の姿――)……あのー?体調悪いの?…てか、オバケじゃないよね?(顔色の悪さから、本気で幽霊か何かではないかと疑っている様子で。おずおずと彼女に声を掛けてみようか。)

はい…、でも、さぼって先生に怒られるのが、ちょっと怖いです。

(長椅子に腰掛けてぼんやりしていると、カーテンの隙間から此方を覗き込んでいる女子生徒の姿が。おずおずと自分に声をかけてくる様子は、先ほどの大きな独り言で受けた印象と異なるもので。ぱちり、と瞬きをするも、どうやら自分がお化けと疑われているらしいことに気付けば小さく笑って)…私はお化けじゃないです。たまに間違われますけど……だから、大丈夫です(存在感の薄い自身はそう揶揄されることも時たまあるので、気にした様子もなく穏やかな声音で)…ええと……、ちょっとおさぼりしたい気分になったので、来ちゃいました。でも先生はいらっしゃらないみたいですね(彼女の不安を解くためにも、と自身がここにいる理由を話そう。とっさにサボりだと嘘をついたのは、体調が悪いことを話して彼女に心配をかけたくなかったからで)

そんときは笑って誤魔化せばダイジョーブ!!………たぶん。

(声を掛ければ、すぐに返事が返ってきた。それに安堵したのか、ふにゃりと頬を緩めて警戒心を解いた。)はあ〜〜〜オバケじゃなくて良かったあ………あ、マジで間違われるの??色白いからかな??(じーっと眺めては顔色が悪いのか、それともただ単に色が白いだけか判断しかねている様子で、首を傾げた。)え!サボり??じゃあ、よっこと一緒ー!!先生いないし、もー勝手にベッド使わせてもらってるんだー!てか、一緒にサボろ??(彼女もサボりだとわかれば、一瞬にして表情は明るいものへ。おいでおいで〜と手招きをして、自身が占領しているベッドへと誘おうか。こんなことが出来るのも女子同士の特権である。)あ、ねえねえ?名前なんていうの?よっこは渋谷依子だよー!よっこって呼んでいいよー(なんて、へらりと緩い笑みを浮かべながらサボり仲間の彼女にさっそく自己紹介を。)

…え、っと……じゃあ、一度だけ…挑戦してみます…! 

びっくりさせてごめんなさい…。…あまり騒いだりしないから、でしょうか。気配がないみたいで、よくびっくりさせてしまいます(安堵した様子の彼女に小さく笑みを浮かべて。だけどじーっと眺められれば気恥ずかしさに頬を赤らめ、照れくさそうにそう告げようか)そうなんですか?…よかった、お体の調子が悪いとかじゃないんですね…。はい、ぜひご一緒させてください(手招きをされればぱあっと表情を明るくして、トテトテとそちらへ歩み寄ろうか。ベッドまで向かえば、「失礼します」と声をかけつつ、スカートを抑えながら腰掛けて)…私は、雪野梢といいます。渋谷依子さん…よっこさん。すごくかわいらしいあだ名ですね。……ええと…でも…先輩さん、でしょうか?(彼女の自己紹介を聞き終えてから、控えめな口調で自分の名前を告げて。彼女から教えてもらった可愛らしい名前とあだ名に小さく笑いつつも、もしかしたらと小首を傾げよう。「あ、私は1年生なんですが…」と自身の学年を伝えながら、)

一度目が成功したら、その次は癖になっちゃうかもよ?(笑)

ううん、いいの!オバケは誰だってビビるよ(笑)気配がないっていうと、ニンジャみたいだよね〜〜??(笑)今度、ニンジャごっこして遊ぼ!(コロコロと笑いを転がしながら、赤く染まった頬に温もりを感じ取れば満足そうな表情を浮かべて、勝手に約束を取り付けてしまおうか。)そうなんです!たぶん、よっこの場合マジで体調悪かったらソッコーでおうちに帰るよ(笑)おいでおいで〜〜〜(こちらにやって来る彼女の姿にデレデレ。愛らしい仕草がこの女の心にヒットしたようだ。彼女の隣に、胡坐をかいて座り込めば、)梢ちゃん!可愛い名前ー!あ、梢ちゃんは1年生なんだ??よっこは2年〜〜〜!でも、歳とか関係ないよっ!同じ保健室のサボり仲間だもん!その辺は、梢ちゃんの接しやすいように接してくれたら嬉しいな〜〜〜?(ニコニコニコニコと締りのない笑みを浮かべながら、彼女の顔を覗き込むようにして。せっかくなのだから、もっと仲良くなりたいというこの女の想いを全面にアピールするのか。)

えっ…それは…先生だけじゃなくお母さんにも怒られそうです。

たしかに、お化けは怖いです…。えっ、忍者…ですか?わたしには似合わないと思いますが……でも、忍者ごっこは楽しそうですね。はい、一緒にやりましょう(彼女の言葉に面喰ったようにしつつも、すぐに嬉しそうにほんのりと笑えば)たしかに、体調が悪いと授業に身が入らないですもんね。お家に帰って早く寝たいですし(くすくすと笑いながら彼女の言葉に同意しつつ、自身の隣にいる彼女を見つめて)えっ…あ…可愛い…ですか?ありがとうございます…。依子さん、ってお名前も可愛いです…(名前を褒めてもらえればかああと真っ赤になりながらはにかみつつ、)やっぱり先輩さんだったんですね…、1年生の廊下ではあまり見かけなかったので…。あ……、はい。サボり仲間、です…。…じゃあ、よっこさんって呼んでも、いいですか…?(彼女の仲良くなりたいという気持ちが伝わったなら、少し考え込んだのちに、彼女を見つめながらおずおずと問いかけて)

お母さんに怒られるの怖いよね〜〜〜母恐るべし!!!

お化け屋敷とか偽物ってわかってても怖い!心臓飛び出そうだし(笑)ニンジャ似合うよー!気配がないとかまずニンジャに向いてる!!ニンジャごっこのとき、語尾は必ず「ニンニン」って言うんだよ〜〜(勝手にルールを決め始めては、忍者ごっこに思いを馳せて楽しそうに笑いを転がした。)……まあ、よっこは体調良くても授業は身に入らないけどね??でしょ!家に帰って再放送のドラマ観ながらゴロゴロ寝たい〜〜!!(はあ〜〜と大きな息を吐けば、ぼふんっとベッドに寝転がって。天井を見上げながら、ふにゃりと笑みを浮かべた。)梢ちゃんの名前が可愛いからあだ名を付けないで呼びたい!いい??へへっ、よっこも可愛い??嬉しいなー!ありがとーー!!(今度は勢いよく起き上がり、彼女の言葉に心底嬉しそうにニカッと微笑み返そう。)1年生に知名度低い?じゃ、もうちっと1年の廊下に遊びに行くね!オー!サボり仲間だー!モチ!よっこさんって呼んでおくれー(彼女の問いかけには満面の笑みで応えて、「よろしくね!」と彼女にそっと手を伸ばせば髪の毛を撫でた。)

よっこさんのお母さんは、怖い人…ですか?

はい…わたし、小さい頃に親に連れられて行ったのですが、すごく怖いって有名なところだったので…もうすっごく泣いちゃって、それからトラウマです(うう、)……本当、ですか?……えっと…ニンニン、…?(彼女の言葉を聞けば、恥ずかしそうに頬を赤らめつつも、人差し指を立てて忍者のようなポーズをとりつつ、彼女から聞いたフレーズを口にしようか)そう、なんですか?…でも、勉強って大変ですもんね。ドラマ…お好きなんですか?(こてり、と小首を傾げながらも、ベッドに寝転がる彼女を見守ろうか)はい、どうぞ…。…でも、あの…あんまり可愛いって言われると、恥ずかしすぎて消えてしまいそうです…(ぽお、と真っ赤になった頬を抑えつつ)はい…よっこさん、よっこさん。…繰り返し、呼びたくなります…(にぱ、)わ、それじゃあ楽しみにしてます。わたしも、よっこさんの教室、に……。…先輩の教室は、ちょっと緊張します、ね(彼女が遊びにきてくれるなら自分も、と思ったけれど少し気おくれしてしまうのか、俯いて。髪の毛を撫でられれば、最初は照れくさそうにするものの、すぐにかのじょを見上げれば、へにゃんと極上の笑顔を見せて)

よっこママは怖いってかパワフルかな! 

よっこも心臓飛び出たー!(笑)幼稚園の時の出し物?だったけど、本格的過ぎてトラウマ級だったよ(笑)でもついついお化け屋敷に入っちゃう(笑)そそ!ニンニン!(さっそく始まったニンジャごっこにご満悦。この女も手を合わせ人差し指を立てれば、気分はすでにクノイチ。)よっこ勉強そんな好きじゃないもんー!勉強より遊びたい派!!うん!!ドラマ好きだよ〜〜〜!刑事モノとか恋愛モノとかコメディとか!海外ドラマはまだ手出してないけどね〜〜〜(にっかりと笑みを浮かべては彼女の問いかけに肯定して。)あはは!可愛いって言われなれてない??きっとこれからたっくさん可愛いって言われるよ!だから、消えちゃだめね!繰り返し呼ばれれば、よっこさんいつでも梢ちゃんの前に登場するよ〜〜〜(いえい!とブイサインしては、満面の笑みで答えよう。)こわーいお兄ちゃんお姉ちゃんとかいないから、気軽に遊びにおいで〜(なんて手招きをして。髪を撫でれば、嬉しそうに微笑む彼女の姿。その姿にこちらも破顔するのだろう。)

パワフル…、明るくて元気な方…ですか?

怖いものを見ると本当に心臓が飛び出ちゃいますよね…。あの感じ、ちょっと苦手です(むう、)幼稚園のときの…、それは、よっこさんだけじゃなくて他の園児さん達もトラウマだったでしょうね…(想像すれば苦笑して、)えっ…入っちゃうんですか?よっこさん、すごいです…、わたしだったら怖くて入れません(感心したように、)ニンニン…、…の他には、何をすればいいんでしょうか?(こて、)なるほどです…、たしかに、遊んでいる時間ってすごく楽しいですよね。よっこさんはどんなことをして遊ぶんですか?わあ……、たくさん観られるんですね!わたしはあまりドラマを観る方ではないのですが…お母さんがドラマ好きです(ん、)はい、あまり…。…いえ、わたしなんてそんな、全然可愛くないです…。……でも、よっこさんがそう言ってくれるなら、頑張って消えないようにします(ん、)わあ…、本当ですか…?なら…寂しくなったら、よっこさんのこと呼んでも、いいですか?(ぱあ、と目を輝かせて)はいっ、ありがとうございます…!(破顔する彼女に自身もふわりと笑いかければ、鳴り響くチャイムの音。あ、と小さく声を上げれば)授業、終わったみたいですね…。わたしはそろそろ教室に戻ろうと思うのですが、よっこさんはどうされますか…?

パワフルで優しくていっぱい甘やかしてくれる〜〜〜(笑)

でも何故か怖いとわかっててもお化け屋敷に入りたくなっちゃう(笑)どーなんだろうね?楽しんでた子もいたし、いろいろ?(笑)ニンニン!…え?あっ……ニンニン!(他が思い浮かばず、とりあえずニンニンだけで押し通そう。)よっこはね、一人の時はとにかくスマホのアプリで遊んでる〜〜!みんなといるときは、お喋りしたり?どっか行ったり?カラオケとか?ゲーセンとか?いざ何して遊んでるのって問われると、あんま思い浮かばないね〜〜(ふはっ、と笑みを浮かべては、ぽりぽりと頭を掻いた。)いっぱい観るよ!じゃあ、今度、梢ちゃんもお母さんと一緒に何かドラマ観てみるといいよ!そんで、よっこも同じの観るから感想とか言い合おう!(ニカッと笑えば、そんな提案をしてみせて。)もー!よっこが可愛いって言ってるんだから否定しないの!よっこの感性を否定するな〜〜〜(なんて冗談っぽく告げれば、彼女の頭をわしゃわしゃと撫でては、激しくない程度にじゃれ合って。)もちろん!寂しくなったら、よっこのこと呼んで!てか、先によっこが寂しくなって梢ちゃんのこと呼んじゃうかも(笑)あ、マジだ。んー…よっこはもーちょいサボってく!(ベッドの居心地の良さに負けて、もう少しだけお世話になることに決めれば、戻るという彼女には手を振って、その姿を見送るのだろう――)