(放課後。部活を終えた橋本リナは、贔屓のアーティストが表紙を飾っているという雑誌を求めて本屋に立ち寄っていた。あれこれ立ち読みした後に目当ての雑誌も無事購入して、さて帰ろうかと店を出てみれば)……え〜、雨降ってるし〜!聞いてないよぉ(空を見上げて眉をへの字に下げた。あいにく傘は持ってきていない。むむ、と唇をとがらせていたが)……なんかお天気雨っぽいし、ちょっと待ってたらやむかも?ここでしばらく雨宿りしようかな〜(と、屋根のあるバス待合室までひとまず避難しようと――)
(本日は自身が所属している部活はお休み。授業が終わり真っ直ぐ家に帰ったなら、白いブラウスにクリーム色のカーディガン、水色のロングスカートという格好で、愛犬とお散歩に。しかし、今は屋根のあるバス停のベンチに腰掛け、ぼんやりと空を見上げて。散歩に出た当初は雨は降っていなかったため傘を持っていないのだ。濡れてしまうのが苦手な愛犬のご機嫌はあまりよろしくない。自身の脇でうろうろと歩き回っている様子を見守っていると、一人の少女がバス停へやってくる。自身の通っている高校と同じ制服に身を包んだ少女は、どうやら自身と同じく雨宿りをしにきたようだ)……あずさ、「ふせ」(うろうろしている愛犬を大人しくさせるために声をかける。腕白だが聞き分けの良い愛犬は、素直に自身の足元に身を寄せ、ぺたんと伏さって。しかし、動かないとはいえゴールデンレトリバーである愛犬はそこそこ大きく、人によっては恐怖の対象になるだろう。彼女は大丈夫だろうかと、心配そうにちらりと彼女へ目配せをしようか)
(うひゃーと楽しげに声を上げながら待合室に駆け込むと、先客の姿に気がついた。かわいらしいゴールデンレトリバーとその飼い主に向けてニコ!と気さくに微笑みかけて、少し離れた場所へ腰を下ろそうか。かばんとギターケースを傍らに置き、パサパサとスカートの滴を払っていると、彼女が愛犬に伏せを指示した。目配せされたなら再び笑顔を浮かべながら)おりこうなわんちゃんだね!えーと、あずさちゃん。女の子?かな?(動物全般に好意を持つ橋本、もちろん犬も大好きだ。かわいいね〜と普段よりも高い声で話しかけた。)
(彼女が待合室にやってきた際に、此方に向けてくれた気さくな笑顔。人見知りな自身は少し驚いたような顔をするものの、ほんのり頬を染めつつぺこんと会釈をして。彼女の持ち物であろうギターケースは自身には馴染みのないもので、興味は惹かれたものの一旦視線は落ち着きのない愛犬へ戻る。そして、彼女へ目配せをした際には再び明るい笑顔に出会う。人懐っこい人なんだなあ、と感心しつつも、話しかけられれば)ありがとうございます…。…あ、いえ。あずさは男の子です。女の子みたいな名前ですけど…(と、彼女の問いにちょっぴりぎこちない口調で答える。が、緊張気味の己に反して愛犬はすっかり彼女へ興味を抱いている様子で、尻尾をパタパタ振りながら彼女を見上げている。彼女が自分に対して好意的なのがわかっている様子の愛犬は、ふせの体勢から起き上がり彼女の元へトテトテと近寄るのか)あ、こら…(慌てて声をかけるものの愛犬は彼女の元へお座りをし、きらきら輝く目で”撫でて”というように彼女を見上げるのか)