(放課後、校庭脇に設置してある木陰のベンチに腰を下ろしては、図書館で借りた本を一冊カバンから手に取って。視線は本ではなく、校庭で部活を勤しんでいる生徒に向けられて――)……あんなにハツラツと動けて、羨ましい限りだよ(その視線は羨望の眼差し。穏やかな日射しも木陰で水分を取らなければ進藤には酷なものである。部活中に発せられる声を聞きながら、自身もその一員であるかのようにその場に混ざり込みながら、漸く最初の一ページを開いた。)
(放課後の花壇の水遣りへ行く途中でベンチに人影を見つけた。通り過ぎようとすればポツリと零れた言葉が耳に残り、相手の視線の先へと己も視線を向ければ賑やかな運動部の声)あの……いい天気です、ね(視線を相手へと戻し声を掛けたもののどう言っていいのか分からずに零れ出た社交辞令のような言葉は尻すぼみとなり戸惑いから視線は相手の顔と己の手元を往復して)
(本を開いて、視線を落としたところで不意に声が聞こえた。落とした視線を上げてみれば、一人の少女の姿。チラリと辺りを見渡してみても、自身の姿以外に彼女の傍には誰もおらず。自然とそれが己に向けられたものだと察すれば、にっこりと微笑んで、その視線をしっかりと彼女に向けるのか。)そうだね。こんなに天気がいいと気持ちいいよね(ベンチに腰掛けたまま、そう返事をして。「だから、外で本を読みたくなっちゃったんだ」なんて手に持っていた本を掲げてみせようか。)君は?これから部活かい?(小さく首を傾げながら、彼女について世間話程度に尋ねてみよう。)
ようやく穏やかな気候になってきて、お天気だと気持ちいいです(彼が笑顔で応えてくれたことで彼の視線を受け止める事が出来、自然と安堵の笑みが零れた。ベンチの横から声を掛けたため、ベンチの前方へと回り彼の方へと近付けば掲げられた本にぱちりと一つ瞬いて)すみません、本を読むお邪魔をしてしまいましたか?(声を掛けた時に彼が俯き気味だったのは、落ち込んでいた訳でなく本を読むためであり、己の勘違いを知り少し驚いた様子で口許に手を当てた)はい、部活の一環で花壇の水遣りに行くところです(「あそこに」と手で示した校庭の片隅には、春の花を咲かせた花壇があるだろう)
そうだね。寒いと室内に籠もりきりになってしまうけど、こう暖かいと外に出たくなるよ(こくん、と彼女の言葉に笑みを浮かべて頷いた。)ううん、まだ読み始めたばっかりで。集中も何もしてなかったから、大丈夫だよ(謝罪の言葉にはふるふると小さく横に首を振って。どこか驚いた様子の彼女を不思議そうに眺めながら、)それに、本を読むよりも人と話す方が俺は好きだよ(彼女に声を掛けてもらえ、驚きもあったが嬉しさもあったこと目を細めては、素直に告げよう。)…部活?……あ。あそこの花壇は君がお世話をしてくれていたのかい?(示された方向には春の花が咲く花壇が見受けられて。そちらに視線を向けたまま「キレイだね」とその景色の感想を零した。)
(彼が同意を示してくれた事で嬉しそうに頬を緩ませた)それなら良かったです。その…「羨ましい」と聞えたので気になったのです(首を横に振った彼に安堵したものの、不思議そうな視線には罰が悪そうに応えて、視線を彼から校庭の運動部員へと移した)私も、話すのは好きです。どんな本を読まれているのですか?(声を掛けて良かったと、嬉しそうに声を弾ませて「隣に座ってもいいですか?」と図々しい質問も重ねた)はい、園芸部の習慣の一つのようなものです。毎朝と夕に土の様子を見て草を抜いたり水を上げたりしています。時間があると昼休みにも見に来たりします(己の好きな事に対しては饒舌に語り、花がキレイと言われ嬉しそうに頬を緩ませにこりと笑んだ)
(彼女の言葉に、目をぱちりと瞬かせれば、なるほどと一人納得をして。)聞こえちゃってたんだね?俺も、あんな風に駆け回ったりしたいなーって。それが羨ましくてね?つい声に出ちゃったみたい(彼女の視線を追うように、もう一度向けられるのは運動部の面々。困ったように眉を下げては笑みを浮かべた。)じゃあ俺と一緒だ。今はね、図書館の人が戦う話かな?いろいろ読むよ、雑食だから。俺(ふはり、と笑みを浮かべながら「どうぞ、よろしければ」と少しだけ横にずれ、彼女が座れるスペースを作ってベンチを共有しようか。)毎朝毎夕?すごいね…土日も欠かさず?生き物相手だと休めないイメージだけど…どうなんだい?(彼女の植物に対する熱意に感心しつつ、不意に生まれた疑問を投げ掛けてみて。)花壇に来れば君に会えそうだね?…っと、いつまでも君じゃ何だし名前、聞いてもいいかい?俺は進藤英吉。3年だよ。
すみません…聞えちゃいました。差し支えなければその理由を聞いてもいいですか?理由を聞いても私が何か出来るという訳でもないと思いますが…(彼へと視線を戻せば線は細いが、木陰で顔色が良く分からないためか健康上の問題は無いような気がして、羨む理由が分からずに首を傾げ問いかけた)一緒と聞くと嬉しいですね。図書館の人が戦う話、ですか?(内容が想像出来ずに不思議そうにぱちりと瞬き、ベンチにスペースを空けて貰えば「ありがとうございます」と礼を述べてスカートを抑えながら座って)いろんな本を読まれている中でお勧めがあったら教えていただけますか?今度じっくり読んでみようと思っているんです(座れば彼との座高の差は結構あり隣の彼を見上げる形で問いかけた)はい、毎朝、毎夕です。土日も用事が無い限り出来るだけ来ていますね。そう多くの時間を取られる訳では無いですし、花が成長していく過程を見るのは楽しいです。明日咲きそうな蕾があると次の日が楽しみですし、毎日何かしら変化がありますから。ふふ、そうですね。きっと教室よりも花壇のほうが確実です。あ、でも、花壇も校内に何箇所かありますから、当たり外れはあるかもしれませんよ?(にこにこと笑顔のままで声を弾ませ楽しそうに語り、くすりと悪戯気にそんな事を告げて)すみません、こちらこそ名前を名乗りもせずにぺらぺらと…。進藤先輩ですね。私は1年の宮元鈴樹です。…その、苗字のような名前なので出来れば鈴と呼んでいただけると嬉しいです(恥ずかしそうに苦笑しながら告げた)
いいよ、謝らなくて。理由かい?簡単に言うと才能がなかった…かな。身体が弱いわけじゃないんだけど、貧血気味でさ。走るの好きだったんだけど、タイムも伸びないし、途中で倒れることもあったから。中学で陸上、やめたんだ。(淡々と事実だけを述べるのは、まだどこかに陸上競技への未練があるからか。眉を下げて微笑えめば「だから、彼らが羨ましい…」と自身が諦めたものを熱心に練習する人々を羨んだ。)本を読むのも、何か趣味を手に入れようと思ったからなんだ。そう、アクションも多いけど恋愛面も多い印象かな。今読んでるのはシリーズの3作目。(こくん、と彼女の言葉に頷きつつ少しだけ内容を補足。女の子らしい所作に感心しつつ、)お薦めかあ…どんなジャンルが好きとかあるかい?逆に、こういうジャンルだけは無理っていうのでもいいよ。(思考を巡らせ、お薦めをいくつか見繕いつつも彼女の好みに合うようなものを選んであげたいと、質問を重ねた。不意に視線が下がれば、「意外と小さいんだね?」なんて感想をポツリ零して。)すごいね?でも、水やりって結構な重労働じゃないのかい?他にもたくさん部員がいるの?(水やりと聞き思い浮かべるのはジョウロ。水も沢山入れば重くなる。彼女一人でそれをこなすのは大変だろうから、部員は多いのだろうかと辺りを踏んで尋ね返した。)んーそれじゃあ勘に頼るしかないかな?(なんてくすくすと笑っては、悪戯な言葉に肩を竦めてみせた。)それくらい話が盛り上がってるってことだよ、きっと。鈴…ちゃん?鈴樹って名前で呼ばれるのは好きじゃないのかい?(彼女に言われるがまま、その名を呼びつつも、首を傾げながらその理由を問うて。もちろん、こちらからは鈴ちゃんと呼び続けるつもり。)
そう…だったんですね。好きな事をやめなくてはならないのは切ないですね…(初対面の宮元には彼の心の内の辛さまでは理解できないような気もして、それ以上言葉を重ねる事も出来ずに、彼の微笑みに応えるように小さな笑みを返した)それでいろんな種類の本を読んでいたのですね。図書館の方が戦いながら恋愛に発展する感じでしょうか?人気のシリーズなのですね(3作目と聞けば興味を惹かれたのか、隣に座る彼の手元の本を覗き込もうとして)今までは少女向けだけ読んでいたので、恋愛やファンタジー系が多いですね。推理やホラー系…怖いものは苦手ですね(唇に拳を当て考えながら応えれば不意に聞えた小さな言葉。彼を見上げ「…禁句です」と大真面目な顔で言った後に、「冗談です」と肩を竦めくすりと悪戯気に笑って)そうですね…部員は多くは無いです。愛でるのは好きだけど、世話まではしたくないって方が多いですから。水遣りはホースを使っているのでそんなに大変じゃないですよ。結構長いホースが部室にあるんです。じゃあ、お会いできるかは勘と運命に任せましょうか?(肩を竦める彼にくすくすと楽しそうに笑い返して)鈴樹ってよくある苗字と一緒なので、鈴木さんが呼ばれていると勘違いしたって事が小さな頃にあったのです。それ以来、鈴って呼んで貰った方がいいのかなって…。苗字よりは名前で呼んで欲しいですし…そんな理由です(彼に向かいにこりと微笑んだ)
好きだったけど、結局やめることを選んだのは自分だしね。貧血を治して成功した人もいるから、俺は逃げちゃっただけだよ(敢えて突っ込んだことを述べぬ彼女に、また一つ笑みを向けつつ、少しだけ情けない胸の内を語った。)そうそう。新しい趣味とか打ち込めるものが欲しかったからね。おかげで本を読むのが好きになったよ。そんな感じだよ、ほら(と言って彼女に本の中身を見せるも、まだ最初の方で。)なるほど…それじゃあ、今俺が読んでるこの本がお薦めかな。ファンタジーだし恋愛ものだし、映画化もされてるよ。推理するような難しい話じゃないし、怖い要素もない。俺の中で、今一番お薦めだよ。(好きなことを語るとやはりこの男も饒舌になるらしい。今読んでいる本の良さを共有しようと薦めれば「一番最初の話、貸してあげようか?」なんて一つ提案を示した。)ふふっ、もしかして小さいことを気にしているのかい?(大真面目な顔も悪戯な笑みも、華奢な印象を与える彼女が行えば可愛らしく映える。くすり、と笑みを零せば疑問を投げ掛けよう。)確かに、花が好きな女の子は多いよね。でもお世話までしようってほど熱心な子は少なそう。鈴ちゃんはそれくらい花が好きなんだね?へえ、そんなに長いホースがあるんだ?すごいね?(びっくり、と目を丸めて。そんなホースがあるのなら、一度でいいから水やりをしているところを見てみたいものだ。)運命が鈴ちゃんの所まで導いてくれるといいな…?(にこりと緩い笑みを浮かべて。歯が浮くようなクサイ台詞もさらりと言ってのけてしまうのは、本を読みすぎているせいか。)……確かに、勘違いで返事しちゃいそうだね。鈴ちゃんが鈴木さんと結婚したら、スズキスズキになっちゃうね?(くすくすと冗談を告げながら、「すずって響き、可愛いと思うよ」と付け足して微笑んだ。)だから、俺もこれから名前で…鈴ちゃんって呼ばせてもらうね。俺のことも好きに呼んでくれて構わないよ。
…私はやめると決断することも凄いと思います。私だったら出来ない事ですから(短いながらもそう思うのは本心で、彼の瞳を見つめにこりと笑みを返した)読書が新しい趣味になったのですね(彼に本の中身を見せられれば、手元を良く見ようと少し前のめりになって覗き込み、肩から癖のある髪がふわりと零れ落ちた)なるほど…私の好みの条件が含まれているんですね。お借りしてもいいんですか?(彼を見上げ頷きながら耳を傾け、提案には声も弾んで嬉しそうに頬を緩ませながら問い返して)…気にしていない、と言ったら嘘になります。高いところが届かないのって不便なんですよ?(そういう不便とは無縁そうな彼を見つめ「身長は何cmくらいですか?」と思わず問いかけて)花は日々変化しますからお世話も楽しいです。ホースは巻いてありますし、花壇からそう遠くないところに水場もあるので、そこから水を貰って撒くんです。水圧に負けそうな花には如雨露を使います(少しでも興味を持ってもらったことが嬉しかったようで、驚いている様子の彼にさらに説明を重ねながらも頬は緩んでいた)今の出会いも運命かもしれませんよ?(歯の浮くような彼の台詞に、言葉遊びをするかのように肩を竦めくすりと悪戯気に笑い返した)鈴木鈴樹だと、苗字だけみたいになっちゃいます…。旧姓をそのまま名乗らせて貰うかもしれませんね。ありがとうございます。私は…進藤先輩?英吉先輩?でしょうか?(どちらがいいのだろうと、問いかけるように彼を見つめて二つの呼び名で呼び、首を傾げた)
そう言われると、少しくすぐったいなあ。やめられないって方が、すごいことかもしれないけどね?(ふふ、と柔らかな笑みを浮かべれば一つ頷いた。)うん。本を読むことで知識も広がるし、何より倒れる心配がないからね(飄々とした笑みを浮かべてはそんな冗談を一つ。覗き込む彼女の髪がこぼれ落ち、ふわりと舞う良い香り。これは女子特有のものか、それとも花を愛でる彼女特有のものか。そんな香りに目を細めては、「良い香りだね」とその髪を褒めよう。)うん、いいよ。俺に借りた方が、返却期間とか考えなくていいし、何よりタダだからね(笑)今度、花壇まで持ってくるよ(二つ返事で貸すことを約束。もちろん、彼女に渡しに行くのも花壇まで出向くつもり。)……あ、そっか。高いところには届かないのか……電車のつり革とか、届く?(身近な高いところで思い浮かべたのが電車。具体例を出しながら尋ねてみよう。「180は超えてたかな…?」無頓着ゆえ曖昧な答え。線が細いため、余計にスラリと伸びて見えるだろうか。)種が出来たら、また来年が楽しみになったり?へえ…水場が遠かったら大変だもんね。……花によって使い分けてるんだ?(さすが園芸部。目をぱちりとさせ驚きながらも、感嘆の息を吐いた。)じゃあ、この瞬間も運命にしておこう(彼女の言葉遊びを自身の都合の良いように解釈をしては、にっこりと微笑んだ。)でも同じ名前の繰り返しって外国の名前みたいでかっこいい気もするなあ。エイキチエイキチは絶対有り得ないし…シンドウシンドウもないなあ…(笑)じゃあ、俺も名前で呼んでもらおうかな?お揃いってことで(彼女からの提案に、選んだのは後者。自身も名前で呼んでほしいことを告げるのだろう。)
んー…どうなのでしょう?それぞれの事情の差もあるかもしれませんね(彼の柔らかな笑みに、考えながら微笑み返して)…確かにゆっくりと座っていられますから倒れる心配はありませんね(彼の冗談にくすりと微笑み、次いで言われた事にパッと髪を押さえて慌てて身を起こして)すみません、近づきすぎましたよね…(そんな事を言われたのは初めてで、視線は彼の手元の本へ落ちたまま僅かに頬が桜色に染まって)ふふ、お得ですね。持ってきてくださるんですか?御手数かけますがお願いします(約束には嬉しそうに声が弾んで、にこりと笑顔で頭を下げた)電車のつり革は届かないところもあるので、握り棒に掴っていることが多いです。…つり革に頭ぶつけそうですね(彼の身長を聞けば逆の意味で大変そうだとくすりと笑っって)はい、種や球根が出来ると次に撒くのが楽しみになります。もちろん使い分けますよ。花を綺麗に咲かせたいですから(にこにこと笑顔のままで語る姿は、花を大切に思う気持ちに溢れているのだろう)外国の名前だと格好いいですが、スズキスズキでも有り得ない気がします…すごく日本名って気がしませんか?英吉先輩、と呼ばせていただきますね。ふふ、お揃いってくすぐったいです(彼を見上げ改めて名を呼んで、にこりと嬉しそうに笑った)
みんな色んな事情を抱えてるだろうね…(校庭で駆け回る彼らにだって事情があるだろう。ただ一方的に羨望の眼差しを向けるのは、もうそろそろ終わりにしよう。そして、その視線を今度は隣の彼女へ移せば、一つ頷いた。)そういうこと。ただ、夢中になりすぎると食事をすることも忘れちゃうのが難点かな?(くすくすと笑いながら続けるのは冗談めいた真実。)ううん、全然。男としては可愛い女の子に近付いてもらえて嬉しい限りだよ(身を起こす彼女を見つめながら、言葉を転がして微笑んだ。)もちろん。そうすれば、また鈴ちゃんに会う口実も出来るしね?(なんてね?と悪戯に笑っては付け足して。)なるほど…!逆につり革に掴まると手が疲れることがあるから、高いところか網棚を掴んだりするかも…(こくん、と彼女の言葉に頷いて。お互い電車の中では苦労が多そうだと笑うのか。)植物はそういう自然のサイクルがあるから、やめられそうにないね。鈴ちゃんの話を聞いている楽しそうだもん。いろいろ頑張ってね?(笑顔で語る彼女に、此方も応援するように笑顔を向けた。)確かに…日本って感じかも?共通点が出来ると、仲良くなれた気がしない?うん、ありがとう(改めて呼ばれれば、リクエストに応えてくれたお礼を述べ、小さく頷いた。)
(彼の言葉にもう一度だけ賑やかな校庭の運動部員へと視線を向け、ゆっくりと1つ瞬き彼へと視線を戻した)食事を忘れちゃうのは別の意味で倒れそうです…気をつけてくださいね?(くすくすと笑う彼と対照的に、少し心配そうに眉根を寄せながら彼を見つめた)…そう言われると、なんだかとても恥ずかしい、です(言われ慣れない言葉に、髪を片手で押さえたまま、視線だけは何とか彼へと戻し、しどろもどろで言葉を発した)ふふ、やっぱり電車の中では大変なんですね(別な意味でのお互いの苦労にくすくすと楽しげに笑って)新たな発見も多いのでやめられないです。はい、頑張ります(小さなガッツポーズを作り彼の笑顔に応えるように、にこりと嬉しそうに笑った)そうですね、共通点があると一気に距離が縮まる気がします。…あ、そろそろ行かないと。…英吉先輩は、ここで本の続きを読まれますか?お時間があれば花壇を見に来ませんか?(すっかり話し込んでしまったのに気付き、少し考えた後に彼へ視線を移し問いかけた)
その辺でぶっ倒れている人がいれば、俺の可能性大だよ(なんてケラリと笑えば冗談のように告げた。彼女の諫めるような言葉には、真面目な表情に戻してから「ありがとう」とだけ、返すのか。)…ふふっ、困らせちゃったかな?(彼女の言葉を聞けば、視線を合わせたまま、ふっと笑みを浮かべた。)電車の中で快適に過ごせる裏技があれば、是非知りたいところだよ(それぞれの抱える苦労がわかれば、楽しげにそう告げて。)うん、その意気でね。頑張って、応援してる(小さなガッツポーズが目に入れば、微笑ましそうに目を細めて。それに応えるようにこの男も拳を握って小さく力を込めたエールを送ろう。)…つい話し込んじゃったね。んーそうだな、せっかくだし見学させてもらおうかな?(少しばかり悩めば、時間もあることだし彼女の提案に頷いて。そうして、きっと彼女に花壇に咲いている花の説明をあれやこれやと質問攻めにしながら、聞くこととなるのだろう――)
じゃあ、もし倒れていたら救護班を呼びますね。それとも栄養補給ゼリー飲料を持ち歩きましょうか?(いざという時のために、と言葉遊びをするかのようにくすりと悪戯気に笑って。真面目な顔での礼の言葉には、はい、と短く返しにっこりと嬉しそうに微笑んだ)…慣れていないので、少しだけ。いや、では無いんですけどね?(笑みを浮かべる彼に、なんだか申し訳ない気持ちになり言い訳のような言葉を並べ小さく笑んで)電車は座れるのが一番ですよね。入り口近くの手すりに掴れば楽ですけど、人の出入りもありますし…やっぱり裏技知りたいですね(考えるように少し首を傾げて案を上げたが、結局良い考えは浮かばずにくすりと笑った)それでは、ご案内しますね。改まって案内って程でもないですが…(彼が提案に乗ってくれたのなら嬉しそうに笑い、ベンチから立ち上がり彼を花壇まで案内して。長いホースを持ち出し花に水を撒きながら、彼の質問の一つ一つに嬉しそうに声を弾ませながら丁寧に説明をして、宮元にとって楽しい一時を過ごす事になるのだろう――)