屋上

んー…!なんだか屋上ってウキウキするね! 

(まだ肌寒い季節だが、放課後に一人向かった先は屋上。薄紫のカーディガンにくすんだ赤い色のリボン、ひらりと風に靡かせるスカートはグレーのチェック柄。生足は出来ず黒タイツ。手にはもちろんスマホ。屋上のドアを開けてみれば、)ひゃ〜〜〜〜さむいっ!!!めっちゃ寒い!!!(ぶるりと身震いしつつも、頬に当たる風が心地よい。暖房によって火照った体をクールダウンしてくれているため、口では文句を言いつつも半ば上機嫌。)ふふっ…ここなら誰にも邪魔されずハイスコア狙えそー!(日当たりのよい場所に腰を下ろせば、早速起動させたのはゲームアプリ。ゲームをする表情は真剣そのものか―)

どう、ウキウキするんですの?…夏は暑くて冬は寒いだけですわ。

(―放課後、本日心躍るバイト先の定休日。その他特に何の用事も無いことだ、たまには寄り道せず直帰しようかと制服調のゴシックドレスの上に厚手のコートを羽織れば、ふと教室の窓越しに視界に映り込む少女の姿。こんな寒い時期に外へ出る理由とは如何に、なんて外の気温を想像しては怪訝そうに顔を歪めよう。然し彼が思い立つのはその直後だろうか、その真相が気になって仕方が無くなるまでにそう時間は掛からなかったらしい。気付けば屋上の階段を上がっている筈。寒さへの抵抗だろう、多少は重い足取りなのだけれど。静かに開けた重量感ある扉からそっと顔を覗かせれば、)…いた(どちらかと言えば天気は良い方、日当たりの良い場所に佇む彼女の背中を見つければゆっくり近付いて。手元のスマホを見遣れば「ゲーム…?」とぽつり零して。)…こんなところで一体なにしてるんですの?(ストレートに問うてみよう。冷える空気にはそっと自身の両手を擦り合わせながら身震いを、―)こんなところで携帯なんていじってたら風邪引いてしまいますわよ。

学校で一番空に近い場所じゃん?開放感みたいな感じカナ?

(これは新記録を狙えそう――真剣な表情で画面に集中すれば周りの音は少しばかり遠くなって。そもそもこんな寒い時期に自分以外屋上にいる人間はおらず、元々静かだった。夢中でフリックしているせいで、人の気配にも全く気付くこともなく、新記録目指してイイ感じ。だったのに。)わあッ!!!(ふいに掛けられた問いに吃驚して、思わずその声がした方を振り向いてしまった。反射である。そしてハッと我に返って画面を見れば、無惨にもゲームは進んでいき、手遅れに。)あっ、あっ…あ゛〜〜〜〜!!!………あーーー……(あ、しか言ってない。問いかけた人物の顔とスマホの画面を交互に見ながらゲームオーバーになってしまえば、半泣き顔になって。新記録ならず。しょぼくれた表情で向き直れば、)ちょっと!お嬢さま!?ワタクシ、今サボタージュの真っ最中なのです!メイドのしがない休憩時間を…ううっ(話し掛ける言葉遣いがあまりにも丁寧だったので、思わずお嬢様とメイドごっこを始めるも、虚しくなって。スッと立ち上がれば、ポンポンと制服のスカートを手で払い、)よっこ、厚着してるから平気だもーん。ヒートテック二枚重ねだしっ!完全防備!(ワハハと豪快に笑ってみせれば、自信満々に答えた。「で?お嬢様は何しに此方に?」なんて設定を引き摺ったまま尋ね返して。)

何と煙は高いところが好きと言いますけれど、…真実なのかしら。

(ゲームと言うものに普段から無縁の百瀬は、目まぐるしく動く画面の様子には釘付けに。こうして目の前でまじまじと見るのは初めてのようで、どうやら全くもって興味が無い訳では無いらしい。次いで、声を掛けた彼女が大声を出せば此方まで驚いて肩を竦めようか。振り向いた彼女と視線が交われば驚かせてしまったことに申し訳無く感じ――る前に、「すげーで声…」なんて小さくぽつりと零そう。直後、彼女の半泣き顔と画面に無残にも表示されているゲームオーバーの文字を見遣れば漸く謝罪の言葉を口にするのか。)あら申し訳ありませんわね。…だけど、こんなコトで泣きそうになってちゃせっかくの可愛い顔が台無しですわよ?(まるで小さな子供を相手にしているようだ、なんてふと思えばくす、と小さく笑みを零して。彼女の隣で屈み、相手の目尻に浮かぶ涙をそっと親指で拭おうか。続いて紡がれた言葉には目をまんまるくして、)お、お嬢様?わたくしが?(思いがけぬ相手の反応には堪えきれずに声を裏返してしまい、ふつふつと笑みが沸いて来るのか。次第に笑いが収まればこほん、とひとつ咳払いをしてから―)それは悪かったわ、メイドさん。だけど、わたくしのメイドでしたら休憩時間なんて与えませんわよ(そんな傍若無人なことを紡ぐ口はニッコリと口元が半月を描くのか。立ち上がる相手からは目が離せず、耳に届いた聞き慣れない言葉には小首をこてん、と傾げながら問おう。)よっこ?貴女はよっこってお名前なのかしら?確かに厚着はしてるんでしょうけど、こんなところでゲームなんてしてちゃ指も冷えちゃうんじゃないんですの?(自身の手を目の前に差し出し、手を寄越せと言わんばかりに「ほら」と目で訴えよう。豪快に笑う相手の姿には小さく、「何は風邪を引かないってヤツか」なんて失礼なことをぼそりと呟くのか。尋ねられた問いには正直に返答をしよう、)帰宅しようと思ったら、こんな寒い中屋上に人影が見えて。気になって来てみたら貴女がいたんですのよ。

さあ?どーでしょう?ちなみによっこは高いところスキだよ! 

う゛〜〜〜……(未だに唸っては新記録達成できなかったことを悔しがって。しかし、涙を拭ってもらったのなら、その目をぱちくりさせて、)や、優しくしたってダメなんだからね!私の新記録を返して!(なんてツンデレ爆発。そうは言ったものの、すぐにケロリと表情を変え「うそぴょ〜〜〜ん」とおちゃらけて見せよう。)そうです、お嬢様です。お忘れですか??エッ……まさかの鬼畜お嬢様設定?(ブラック企業に就職してしまったらしい。一瞬固まるように身構えて。)よっこはね、依子だよ。渋谷依子!2年!お嬢様のお名前はー?(なんて小首を傾げて尋ねてみるも、お嬢様の名前を知らないなんてメイド失格である。確かに、指は冷え始めており、これ以上は記録更新を狙えそうになかった。丁度やめどきである。視線を感じれば、その訴えを読み取って、というか有無を言わさぬ空気を感じ、渋々といった具合に両手を差し出してみせた。)ねえねえ、お嬢様?さっきからちょいちょい口が悪くなるのはデフォ??(じーっとその目を見つめながら尋ねて。訝しげな表情を浮かべては、その真意を問うた。「わざわざ追っ掛けてきたの?寒いのに?物好きだねー?」と吃驚しながらも、ふはりと息を漏らした。)

ふぅん、じゃあこれから検証してみることにしますわ。ウフ。

(未だに唸る相手の反応にはちらりと視線を遣って、何か言葉を掛けるでもなく小さな溜息をひとつ漏らそうか。3人の姉を持つ百瀬は女性の扱いには慣れている筈なのだけれど、どうも目の前の相手が掴めないようで戸惑いを隠せず。素早く瞬きを見せる相手の瞳をじっと見据えては、「涙、止まりましたわね」なんてほっと胸を撫で下ろそう。傍から見れば優しさ故の行為にも見えるのだろうが、如何せん性格の悪い百瀬の思考は”自分が泣かせたと思われるのが面倒だから”の一択なのだろう。)あら、新記録行ってたんですの?…おめでとう(なんて心にもない拍手を捧げては、すぐに相手のコロリと変わった態度には眉が一瞬ピクリと動くのか。)ふぅん…じゃあ、わたくしがお嬢様で貴方がわたくしのメイドなら、なんでも言うこと聞くんですのよね?(相手のふざけて始めた筈のメイドごっこには自身も便乗してみようか。鬼畜、と問われれば「そんなことないですわ、わたくしとても優しいですわよ。とてもね、」なんて語尾を強調してみせるのだろう。)よっこ…面白いあだ名。2年生、ってことは…あら先輩なの。でもわたくしのメイドなら、よっこでいいですわよね?(冗談なのだろうか、本気なのだろうか、やんわりと微笑みながら目上の相手にとんでもない提案を掲げてみようか。次いで「わたくしは1年の百瀬幸、と申しますわ。しっかり覚えてくださいまし、」なんて似非お嬢様さながら、スカートの裾を両手で持ち上げて軽い会釈をして。しぶしぶ差し出された両手にそっと触れて、)ほら冷たい。女の子がこんなところで体を冷やしたらいけない。(真っ直ぐな視線が此方へと突き刺さる。全て心の声――だった筈がうっかり全て口にしていたようだ、詮索されては珍しく動揺しているのだろう視線を泳がせて。「気のせいですわよ」、今はそれで精一杯のようだ。)ちょうど今日は暇でしたのよ。お話し相手になってくださる?

そっちは?高いところ好きじゃないの??キライ??

………てか!泣いてないし!!涙出てない!……たぶん(半泣きは無自覚。泣いてないと意地を張ってみるものの、本当に泣いてなかったかは自分でも確信がなく視線をキョロキョロさせては勢いで誤魔化した。)…………、ううん。新記録ではないよ……もーちょいで新記録も狙えそうな…そんな感じ………てか!むかつく!!その拍手!!(罰が悪そうに答えるのも最初のうちだけ。心が籠もってない言葉と拍手に怒りを露わにしては食って掛かって。)エッ…!?!?いや…まあ、そーですね?メイドならお嬢様の言うこと聞きます、よ……?(どんな無理難題が来るのかと身構えて。自分からやり始めた手前、言うことを聞かないとは口が裂けても言えなかった。「自分で優しいとか言っちゃうと胡散臭いですよーお嬢様ー」オホホホと笑いながら口撃。)なっ!?よっこが面白いってどーいうこと!?パパもママもそう呼んでくれてるのに!?可愛いじゃん!!よっこ!!年齢とか気にしないから、よっこでいいよ!だからハイ呼んで!!(くれくれアピール。気にすべきは年齢ではなく未だに続くメイドのポジションだが、そんなことはこの際どうでも良く、可愛い呼び名と認識させるのに必死。)ゆっきー?ももちー?ユキ様?モモ様?どれがいい??(似非お嬢様の自己紹介に思わず拍手。こうしてみると本当にお嬢様っぽい。とりあえず、呼び方候補をいくつか挙げて選んでもらう作戦に出た。)手が冷たいのは心が優しい証拠って言うじゃん??いーんじゃない?よっこ優しー(へらり、と緩い笑みを浮かべては自慢気に答えて。視線が泳ぐ姿を、じーーーっと見つめれば「本当に〜〜〜?」と未だに疑いの眼差し。)暇人!!いいよっ!お嬢様の頼みなら、断れない!メイドがお嬢様の気が済むまで話し相手になってあげるー!

嫌いでは無いけれど、あまり高いと落ち着きませんの。

あらそうでしたの、ごめんあそばせ?(視線を泳がせる相手の反応には意地が悪そうにくつりと喉を鳴らして。)ふぅん、新記録まだ行ってなかったんですのね。それならもうちょっと頑張っておくんなまし(おほほ、)…むか、つく?(なんてピタリと拍手を送る手を止めてはきょとんと目を丸くしよう。口元に弧を描きながら、「よっこのくせにお口が悪いですわ、お仕置き」なんて相手の額に軽いデコピンをひとつ食らわせようと手を伸ばして、―)何でも、ね。(身構える相手を視界に入れつつ、唸り考えては「でしたら、」と口火を切って。次いで紡がれる言葉は「焼きソバパン買っていらっしゃい?」なんて冗談交じりに。高飛車な笑い方には笑みを零しながら、)なんですのその笑い方、よっこ面白いですわね。…それにそれは一体どういう了見かしら?わたくし優しいのに。(不服そうに唇を尖らせつつ。相手のころころと変わる表情には見てて飽きないどころか寧ろ楽しんでいるのだろう、表情は緩んだまま。)あらご家族からも呼ばれていますのね。はいはい、かわいいかわいい。はいはい、よっこよっこ。(彼女と出会って数分ではあるものの、扱いはぞんざいな気もする――が、百瀬にとってこのようなやりとりは気に入った人物に対して行う反応のようで。それが相手に伝わるかまでは置いといて。)よくもまあそんなに面白いあだ名がぽんぽん浮かびますわね…どれでもよっこの好きなあだ名を付けて下さいまし。1番かわいいのでお願い(くす)あらそんな迷信どこで覚えてきたの(なんてまたもや意地悪を口にしつつ、わざとらしく目を丸くして。次いでじっと視線が送られてくれば「ほんとう」と強調しながら大きな双眸がそっと逸らされるのか。)わたくしの相手を出来る貴女もよっぽど暇人、と言いたいところですけれどそのご厚意はしっかり受け取りますわね。ふふ、出来たメイドね?(なんて相手の頭にそっと手を添えれば髪を軽く撫ぜよう、―)

そわそわしちゃう??地に足付けて生きるタイプ??

……くっ(苦い表情を浮かべては悔しそうに吐き捨てて。)むかつく〜〜〜!!!そんだけ、よっこの記録がスゴイってことなんだから!!塗り替えるの大変なんだから!!!…ったあーーーい!!なんで!?デコピン!?お嬢様のお仕置きってスパルタ!?(デコピンを避けることもなく喰らってしまえば、そこまで痛みがあったわけでもないのに大袈裟に騒いで。両手でおでこを押さえては激痛をアピール。)…た、ただのパシリやん……や、焼きそばパンの代金は……?てか、随分と庶民的な食べ物をお好みですね??(愕然と呆然。ハッと我に返れば代金を要求しようと、そっと手を差し出して。そして「もしや庶民派?」なんてマジマジと見ながら尋ねた。)エッ…お金持ちの笑い方ってこんなんじゃない?オホホ。ウホホ。お嬢様の優しさをまだ知りませーん(つーん、とそっぽ向いて。)そーだよ!だからみんなにもよっこって呼ばせてる(笑)って感情!!籠もってない!!!可愛いね、よっこちゃん!ハイ!やり直し!!(食い気味に駄目出し。ぞんざいな扱いをされても何のその。楽しく話せれば暴言さえも気にすることがないのが渋谷の良いところでもある。)じゃあ、ゆっき!!よっことお揃いね!あ、でもお嬢様って呼ぶ方が多いかも(笑)どこで覚えてきたかなんて忘れちゃったよ(笑)……ゆっき〜〜〜?コッチ見よ〜〜〜?(握っていてもらっていた手を今度はこちらから握りかえして、ぎゅっと力を込めれば、早速あだ名で呼んで。)暇人だからゲームしてたわけだしね?(笑)優秀なメイドですから(褒められれば有頂天になって胸を張るのか。)

んー、どちらかと言うと這い蹲って生きてるタイプかしら?

(出会ってからそう時間は費やしていないのだけれど、相手のこの苦悩な表情を見るのは何度目だろうか。百瀬はこの表情が嫌いではないようで、寧ろ嬉しそうに口角を上げれば「よしよし、」なんて自身よりほんの僅かに低い相手の頭を撫でるのだろう。)へぇ、そう。だけれどわたくしゲームなんてあまりやりませんの、だからその苦労を理解してあげられませんわ…残念ね。(わざとらしく溜息を一つぽつりと零しては、デコピンをした後の相手の反応には腹を抱えて笑い出し、―)っぷ、っくく…、!ほんっと…よっこの反応最高。…はぁ、久し振りにこんな笑ってしまいましたわ。(痛みを訴える相手の姿には笑いが止まらないようで、腹元を押さえながら反対の手を伸ばせば「大袈裟ですわ」とデコピンを食らわせた位置をそっと撫ぜて。)代金?もちろん買ってきてくれるならば払いますわよ。庶民的?当たり前ですわ、だって庶民ですもの。(なんて当然の如くハッキリと告げる表情は至って大真面目なのだろう。差し出された手に気付けば、財布から小銭を取り出して其れを渡しては。)ウホホ、って何よ。ゴリラ?(じと、)あらこれからたっぷりわたくしの優しさを教えてあげますわよ(ふふ)はいはい、言えばいいんですのね。…かわいいね、よっこちゃん。(無論、棒読みで。彼女のあだ名の提案には目を細めながら「おそろいね。うん、いいんじゃない?よっこにしては上出来ですわ。お嬢様、も良い響きですけれど、」なんて笑いながら。(手を握り返してくる手の力が少し強まれば「い・や」とそっぽを向いてしまおう。)どんなゲームしてるんですの、暇人さんは?(こてん、と小首を傾げては。次いで胸を張る相手の反応には微笑ましく思いながら、)ふふ、自慢のメイドですわ。

這い蹲ったらお洋服汚れない?洗濯大変でしょ??

あ〜〜〜〜!!!むかつく〜〜〜!!その余裕な態度!!!(キーーーッと歯を食いしばるも、頭を撫でられれば、キッと睨む目も口元が緩んでいるから台無しだ。)え!?ゲームしないの!?お嬢様だから??勿体ないよー!面白いよ!ゆっきスマホ持ってる??面白いアプリ教えてあげる!あ、ついでにメアドとかLINE教えてよ!(苦悩の共有が出来なかったことよりも、ゲームをしないという方に驚きを隠せず。仲間を増やそうと、さっそく勧誘を始めて。自分のスマホの画面を見せながらついでに連絡先も交換してしまおうという魂胆。ぐいぐいとその袖を引いて、お願いしてみようか。)ちょっ!ほんとに痛かったんだからね!?痛かった!!うん!痛かったし!お嬢様、笑いのツボ浅すぎ!!笑いすぎ!!(もーおーー!と牛のように唸るも、額を撫でて貰えれば「最初から優しくしてくれればいいのにー」と唇を尖らせた。)おお!その辺はよっこの奢りとかじゃなくていいんだね!?さすがお嬢様!てか!!庶民とか!!!お嬢様じゃないの!?!?(今更ながらに衝撃的な告白に目を丸くして吃驚。「ってマジで小銭くれんの!?」本当にお金が渡されればさらに吃驚。ぽかーん、と口を開けて相手の顔を見遣った。)ゴリラじゃねーよ!オコだよ!!……お嬢様が優しくできるんですかねー?(フーヤレヤレ)あーーーー!また棒読み!!だからね?感情をね?込めて!って言ってるの!アーユーアンダスタン??(不器用な英語を織り交ぜつつ相手に食って掛かって。付けたあだ名を褒められれば鼻高々。フフンと得意気な表情を浮かべた。)コッチ!!見て!!(ぎゅう〜〜〜〜とさらに握る手に力を込めて。)今嵌ってるのはパズルとか!あとはキャラを落とすゲームとか?色々あって楽しいよ!

よっこが洗ってくれるから大丈夫ですわ。

ふふ、かわいいかわいい。(一見、まるで子供の相手をしているよう。自身には持ち合わせていない素直さを見せる、彼女のころころと変化する表情に口元を緩めながらやんわりと微笑んで。頭を撫でれば僅かに嬉しそうに表情を和らげるのだからこれまたくすりと笑ってしまい。)あまり興味無いんですのよ。一応持っていますけれど、…本当に面白いんですの?(意地悪そうににやりと笑いながらも、袖を引っ張る可愛らしい仕草に気が付けば小さく笑みを零しながら鞄の中から携帯を取り出して。相手からの提案には「ええ、そうですわね。此処でお会いしたのも何かの縁だと思って、」と言いながら相手の携帯画面を覗き込んで登録操作を進めよう。情報交換を完了させればまた携帯は鞄の中へと戻されるのだろう、「面白いアプリ情報、待ってますわよ」と一言添えて。)はいはい、分かりましたわ。痛いの痛いのとんでいけー、ほら。完治、ね?(と、額を撫でながら子供騙しの魔法を掛けてあげるのか。牛のように唸る様子に「よっこ、まるで牛みたいですわ。」と、笑いも止まらないようで。)そりゃだって一応よっこはこれでも女の子ですし。女の子にお金を出させるなんてそんな非道なことはしませんわよ。(ぽかん、と口を開けたままの彼女の反応には「…さぁ、秘密ですわよ。」と言葉を暈すのか。)よっこ、貴女英語出来ないでしょう。(なんて笑いながら。次いで突然握られた力には吃驚したのだろう、思わず「いってぇ、!」粗暴な言葉が口から飛び出してしまい慌てて両手で口を覆うのか。――さて、日も暮れてきた頃。益々寒さが増せば肩を竦め、「よっこ、わたくしもう寒いですわ。そろそろ帰りましょう?」なんて立ち上がり夢中でゲームの話題を振る彼女の腕を有無を言わせず引っ張って立たせるのか。)よっこ、携帯見ながら電柱にぶつかったりしそうだから途中まで送ってってあげますわ。だからほら道案内しなさい、メイド。(なんて、忘れかけていた設定を思い出せば口元が弧を描くのか。相手がまだ居座ると言えば諦めてひとりで帰宅するつもり、相手が案内を承諾してくれれば恐らくふたりで帰路に着く筈で、―――)

そーでした!よっこがメイドでした!洗濯くらいどんとこい!!

ぐう〜〜〜よっこの扱い慣れてるな??(初めて会ったばかりだというのに、こうも簡単にあしらわれるのも嫌な気はしない。可愛いと微笑む相手にこれ以上、憤慨することも出来ず困り眉で降参。)これから興味持たせてあげる!よっこがハマるくらいだから、ゆっきもハマるって!!(自信満々に言い切った。そして相手の了承が得られれば、にんまりと微笑み連絡先を交換。「めっちゃ送ったる!!」と宣言し、自身もスマホをポケットへと滑り込ませた。)はあ〜〜〜??そんなんで騙されると!?…まあ、でも今日は許してあげる!よっこ心広いから!(子供扱いに不満げな声をあげるも、ケロッと態度を180度変えて。今は魔法にかけられたい気分だったようだ。「誰が牛じゃい!!」と笑う相手にすかさずツッコミ。)??よっこも女の子だけど、ゆっきも女の子でしょ??変なのー??(きょとん、と不思議そうに首を傾げて。「てか一応は余計だよ!」とチクリ。)英語できなくても生きていけるもーん(つーん、とそっぽを向いて。相手の口から零れ出た悲鳴にビクッと肩を揺らして。「そ、そんなに痛かった?ごめんね??」粗暴な言葉を使わせてしまうほどだったかと、反省しては眉を下げて申し訳なさそうに謝罪した。そして、今度はその手を優しくさすろう。痛みを取る魔法である。――日も暮れれば気温はぐっと下がる。有無を言わせぬ言葉に、思わず苦笑い。「しょうがないなーお嬢様は!」と渋々引っ張られながら立ち上がって。)そ、そんなアホなことしないって!!歩きスマホは危ない!知ってる!お嬢様に送られるとか不思議(笑)でもせっかくだし、もーちょい話したいから送ってってもらお!(すぐに切り替えてメイドモード突入。「こっちですよ、お嬢様!」なんて手招きしては、帰り際に自身の教室に寄り道してカバンを取って共に帰路に着こう。)