……こんなところよくみつけたよね…褒めてあげたい………

(小耳に挟んだ星のよく見える場所の情報。地域探索同好会なるものの名前さえ覚えていないけれど、言われたとおりに正門を出て西に向かった。)………めっっちゃ遠いんですけど!?1時間も歩くとか聞いてなかった!!(人の話を最後まで聞かない悪い癖が発動。小さな森を突き抜けるまでこんなに歩くとも思わず一人文句を言いながら進めば、ようやく小高い丘が見えてきて。放課後になってすぐ来たせいか、まだ少しばかり明るいけれど、日は沈みこれからきっと星空が目の前に広がるはずと期待に胸を膨らませた。汚れるなんてことは最初から気にせず、一番小高い場所を陣取れば腰を下ろして、)今日めっちゃ晴れてるし!!綺麗な天の川とか見えちゃったりして!?


おーよしよし、えらい、えらいぞー…みたいな?(くす)

(あまり周囲のことを気にするような奴ではないが、今日の白鳥は少々ナーバスだった。はたして、一人で星を見ている人はいるのだろうか。カップルが寄り添い星を見る中、ぼっち星見だなんて…。)…いや、だったら行かなきゃいいんだけどさぁ。(あははー、と自虐的に笑いながら、歩くこと一時間。赤々とした夕日は徐々に沈み、薄暗くなっていく。――ようやく着いた、小高い丘。)
はー…いい運動。いい天気。星は見えないけど。
(ちょっと早かったな、もうちょっとのんびりしてれば良かったかな、などと考えながら少し歩きまわる。カップルがー、なんて杞憂だった様子。ほっと胸を撫で下ろす。)あ、(目に入ったのは一人の少女。一番星が綺麗に見えそうだな、と思ったところに彼女は腰をおろしていた。)…こんにちは、隣、いいかな。
(後ろから近づいてそっと彼女の横に立つと、腰を曲げて覗き込むような態勢をとる。お得意の社交的な微笑を浮かべて声をかけた。)


そう!ただ褒めてあげるのと同時に遠すぎる怒りもぶつける!

(我ながらいい場所を陣取ったものだと満足げな表情を浮かべ、空を眺めて。ずっと眺めているせいか、微妙な変化には気づけないまま。──不意に顔を覗かれ言葉をかけられれば、こちらも彼の方へと顔を向けて、)どもー!隣?いいよいいよー!どうぞー!(ぽんぽんと隣の地面を叩いて見せては、彼に腰を下ろすよう促した。そうして、空ではなく彼をじーっと見つめれば、)ね!雛ノ森の人だよね?一時間歩いてくんの大変じゃなかった?よっこ、ちょー疲れちゃった!(初対面なのにそんな愚痴を零せば、今度は仰向けに倒れこんで真上の空を眺めた。「あー、この体勢楽だー」なんて首を傷めることのないベストな体勢を発見した。)


褒めながら怒るの?君、おもしろいね。

(制服を着ているとはいえ、学外でいきなり知らない男に話しかけられて驚かせないだろうか、一瞬悩んだが明るく返答する彼女にふっと小さく笑って)ありがとう。じゃ、お邪魔します。(にっこり笑顔で彼女の隣に、同様に腰かける。なぜか空ではなくこちらを見つめてくるので、「ん?」と不思議そうに声を漏らしてぱちぱちと2回瞬き。続く言葉に、あーなるほどな、と言わんばかりの納得した表情で)そうだよ。俺、2年の白鳥春樹。確かに、ちょっと遠すぎだよなあ…なかなか良い運動になったよ。(くすくすと笑いながら、ぽん、と肩に手を置いて、お疲れさま、と付け加えた。)
あーあー、服が汚れちゃうよ?(女の子なのに、なんて言いながらも、彼女の思い切りの良さに、すこし感心したような、どちらかというと肯定的な印象の笑みを浮かべて。自身も真似するように仰向けになるのであった。)


面白いってよっこにとっては褒め言葉!!!

ささっ、遠慮なく〜!くるしゅうないぞ!(隣に腰かけた彼を見ては満足そうに笑った。)あ、一緒だ!よっこも2年だよ!タメ!!渋谷依子だから、よっこって呼んでね!!(彼の自己紹介に思わず、パッと笑みを浮かべた。なぜなら同学年だったから。気を遣わなくていい相手と認識すれば、すでに昔からの友人のように図々しくも馴れ馴れしく絡み始めよう。)ね!!!すっごく遠くてさ?歩いてる途中でイライラしちゃった!もーー運動不足が露呈した瞬間だったよ……アレだね、やっぱ日ごろからちゃんと歩いてなきゃだめだね……(肩に置かれた手を横目でちらりと見ながら、はあ〜〜〜と盛大な溜息を漏らした。それから「もっと労って!」とおねだり。)んー?服なんて洗えば大丈夫! ……あっ!ほら!!星が見えてきたよ!!(一緒になって寝転がってくれた彼にニカッと笑いながら、日が落ちて暗くなり始めた空には明るい星が一つ。また一つと見え始めた。きれいに瞬く星を眺めては、大はしゃぎ。隣の彼をバシバシと叩きながら、空に向けて指をさすのだ。)


そうなの?将来はお笑い芸人かな?

ははー、ありがたき幸せ。(彼女の満足げな態度に、こちらも楽しくなって口調を合わせて軽く笑う。)
お、おおう…。(学年を伝えた途端、会話の勢いを増した彼女に、一瞬驚いたように目を見開くも、親しげに話されることに悪い気はしない。この子はこういう子なんだなあ、と納得すればすぐに面喰った表情を柔らかい笑みに変えよう。)よろしく、よっこ。じゃあ俺のことははるるんって呼んでもらおうかな。この間可愛い後輩に付けてもらったあだ名なんだけど。(男っぽくないけどさ、なんて小さく笑って。)イライラして、だけど途中で引き返すのも癪だし、あとどれくらいで着くかもよくわからないし?わかるなあー、その葛藤。(と、共感を示す言葉を並べる割にはどこかわざとらしく楽しそうな様子。)
じゃあ毎日散歩する?お散歩同好会でも作る?(なんとも立派なため息に、思わず笑い出しそうになるのをこらえながら、肩に置いた手をそのまま上へ。「おーよしよし、良く頑張ったねー、偉いねー」と、頭にぽんぽんと触れ)
洗えば大丈夫って、まあそりゃあそうだけど。(まるで少年の様な発言に、少しびっくりした様子。「だけど」なんて何かを言おうとしたが、彼女の明るい声にそのまま口を閉じる。ばしばし叩かれながら、「ちょ、痛いよよっこ」と笑いつつ顔を空へと向けては「あー、本当だ」と小さく感嘆の声を。)


じゃあ芸人になれたら、はるるんにサインあげるね!!

ふはっ!!ノリ良すぎかよっ!!(こちらの戯言に合わせてくれた彼に思わず噴き出して笑えば、バシバシとその肩口を楽しそうに叩いた。)同い年だと嬉しくなるね〜〜!!OK!はるるんって呼ぶね!うお!?マジか!可愛い後輩に付けてもらったの!?そりゃいっぱい呼んであげないとね!?(彼の自慢話には羨ましさを織り交ぜながら、「男っぽくはないけど、でも可愛くて何度も呼びたくなるあだ名だね!はるるんって!」とへらり口角を上げた。)そうそう!!途中で引き返すとかもう絶対しねーぞ!?って怒りながら来た(笑)お散歩同好会!?(笑)それいいね!!作っちゃおうか!(けたけた笑いながらもこの女はノリノリ。それから偉いねと頭を撫でてもらえば、目を細めて頬を持ち上げ「んふふ〜〜〜しあわせ!」とご満悦。)ちなみに洗うのはよっこママ!(彼が何かを伝えようとしたのだろうけど、それはこの女には届かない。笑って誤魔化しながら叩いていた手を下ろし、「綺麗だね〜…」と瞬く星空を帰る時間が来るまで、彼と二人寝転びながら、どうでもない話をしつつ眺めているのだろう──)