(部活の先輩で普段からお世話になっている彼の誕生日は5月19日で中間試験の真っただ中。直接渡したいけれど試験中に押し掛けるのもどうかと迷っているうちに、試験が始まりあっという間に過ぎてしまった。結局試験の最終日に商店街へ出かけプレゼントを探すものの、男性へのプレゼントは相変わらず何を送っていいのか迷うばかりで。そんな中で足が向いたのは自分が良く行く和雑貨屋さん。迷いながらも気になったものを買うことにした。5月22日の試験が終わった次の日の放課後。早めに園芸部室に顔を出し、目的の人物が来るのを待ち彼が来たのなら少し緊張しながらも呼び止めて、)…白石先輩。ちょっといいですか?(部室内の邪魔にならない所まで少し移動して貰って、)少し遅くなりましたが…白石先輩、誕生日おめでとうございます。日頃から何かとお世話になっているので…お礼も兼ねてます。って毎回同じ事を言っている気もするのですが。…宜しければ受け取ってください。必要なければ何時でも返品可ですので。(にこりと笑顔で差し出した白い紙袋の中には、柔らかな薄い水色の和紙に包まれた、黒地の鬼ちりめんにワンポイントで桜の模様の入ったペットボトルカバーと紙石鹸で。宮元の中ではやはり彼は桜のイメージが強く、黒地なら男性が使っても問題ないだろうかと。紙石鹸は土をいじる園芸部で手を洗う機会も多い。水道はあちこちにあるけれど、石鹸が無い所もあるので何時でも石鹸を使えるようにとの思いで。)ええと…そのうちゆっくりお話しできたらいいなと思っていまして…お花見散歩でもしませんか?って下心込みです…なんて。あ…気にしないでくださいね。その…純粋に誕生日プレゼント、なので。白石先輩が生まれてくれてありがとう、って、出会えて良かったって気持ちです。(躊躇いつつ話し出したものの、言った後で慌てたように誤魔化して。最後には気持ちを籠め僅かに頬を染めながらも真っ直ぐに彼を見てにこりと微笑みながら気持ちを伝えて。それじゃ、失礼します。と勢いよく頭を下げ逃げるように中庭の薔薇の手入れをするために部室を出て行った。)