(授業の合間の休み時間。授業終わりのチャイムと同時に彼女の足は自身の机を飛び出した。目的は隣の教室へ。両手にはピンク色の紙袋に黄色のリボンがされた袋が握りしめられている。袋には桜模様が施され、季節を匂わせるようで。−−教室のドアから除く2つの双眼。目的の人物を見つけられれば、頬はいつも以上に緩むはずで。ゆるりと近づきながら後ろからそっと声をかけた。)梢ちゃんー!お誕生日おめでとー。(相手が驚いたなら作成成功といったところか。気づかれてしまっても支障はないのだが。そして両手で差し出した袋を貴女の前に突き出しながら、)これ、誕生日プレゼントです。いつも仲良くしれくれるお礼?なのかな。うん、多分そう。そしてこれからもどうぞ仲良くしてくださいという思いを込めて。(中身は彼女が好きだといっていた犬のぬいぐるみ。いろいろ悩んだが、結局これがしっくりきたようで。)えへへ、センスなくて申し訳ないんだけど。また来年もお祝いさせてもらえたらうれしいな。ってことでわたしは教室に戻るね!それではー。(受け取ってもらえたならば満足そうに、ぺこりと小さくお辞儀をして。そしてへらりと笑いかけながら、その足は再び教室を飛び出した。「ふわー、緊張した」なんて、少し高鳴る胸を押さえながら今日も篠井は絶好調だ。)

(休み時間。次の授業の準備をしていたところで、後ろから声がかかって)……ふぇっ…あ、未桜ちゃん!(目を丸くし間抜けな声をあげながら、ぱっと振り返る。そこには以前お話をさせてもらった友人の姿が。さらに、誕生日おめでとうという言葉を聞けば、「へっ…?」と驚きつつ席を立って。まじまじと彼女の話を聞きつつ、差し出された袋を受け取る。状況を把握しきれていなかった雪野だったが、しだいに彼女の言葉が浸透していき、じんわりと嬉しい気持ちがこみ上げてくる)…ありがとうっ、未桜ちゃん…!大切にするね。それと…私こそ、これからもよろしくね(満面の笑みを浮かべながら、彼女に心からのお礼の言葉を告げるのか)うん、またね…!(教室を去っていく彼女を、控えめに手を振りながら見送る。その姿が見えなくなってから、いそいそと袋を開ける。すると、とても可愛らしい犬のぬいぐるみが顔を出すではないか。ぎゅーっとその子を抱きしめるのは、彼女への感謝の気持ちと、可愛い!という感激の気持ちの両方から。持って帰ったぬいぐるみはベッドサイドの小さなたんすに飾られ、時々撫でたり抱っこしたりしながら、大切にすることだろう)