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(屋上で出会った少女からチョコとチェキを貰ってから1ヶ月が経った。今日は朝からバレンタインにチョコをくれた女子生徒一人一人にホワイトデーのお返しを渡して回っている。彼女のあの印象的な贈り物のお返しはどうするべきだろうか、やはり彼女に倣って写真を渡すべきだろうか、この1ヶ月間悩んだが男の写真を貰ったところで喜ぶまい。しかしお菓子を返すだけでは趣が無い。あの日彼女が可愛いと言っていた花を押し花の栞にして渡すことに。本当は太陽の下で生を全うさせるのが花のためなのだろうが、彼女ならば大切にしてくれそうだと思い、祈るような気持ちで摘んだのだった。ピンク色の紙袋に手作りのナッツ入りブラウニー、そして栞を忍ばせた。昼休み、昼食を済ませてから彼女の教室へと向かう。日頃から3階に行くことはあまり無いが、戸を開けると1年3組の園芸部員が軽く会釈をして近寄ってくれた。)朝日…東宮朝日に会いに来たんが、いるかな。(そう伝えると、談笑している女子のグループを指し示された。ありがとう、と礼を伝えてから彼女の元へ。)…朝日。この間はありがとうな。これ、ぜひ食べてくれ。(紙袋を机の上に置き「談笑中に悪かった。じゃあ、また。」と手短に告げて去って行くのだった。)
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