篠井さんクレープは700円以内で頼むよ

(夏休み前最後の登校日。普段ノーネクタイの黛、今日は式典なので一応ネクタイをつけていた…曲がってはいるが。終業式は最初から最後まで寝て過ごし、教室でのホームルームはウトウトしながら過ごし終わった。机に置き勉していた教科書類は残したまま、今日渡された大量の課題だけを通学鞄に入れ、いつものパーカーを羽織れば帰り支度終了。仲の良い男子生徒らにファストフード店への寄り道をに誘われたが「今日は先約あるからパース。じゃっ。」と短い挨拶を交わし、同じクラスだけど余り交流のない女子の席へ。)よーし篠井さん。クレープ行くぞー。(と、席に着いている彼女の前から机に体重をかけて寄掛る。ニコリ笑みを浮かべたが、声も瞼もまだ少し眠たげで。)

708円はセーフですか?アウトですか?

(明日からはじまる長い休み。そのことを考えるだけで彼女の表情は今日1日緩みっぱなしなのは当たり前の事である。遠くから聞こえてくる学長の話も彼女の耳に入ることなく風のようにすり抜ける。頭の中はいつもは働かない脳が凛々しく動いているに違いない。さて、何をしようーーそう考えるだけでわくわくがとまらないのである。受け取った課題は鞄の一番奥へ。きっと開くのは最終日。生暖かい風と窓から差し込む光に少し目を細めながらチャイムが鳴るのを今か今かと待ちわびて。−−ふいに動く視界と机に一瞬怯んでしまう。その原因でもあろう人物に視線をうつし。)…なんだ、黛くんか。机が勝手に動いたのかと思った。ってクレープいくの?いくいくー。(突然の誘いも平気で返してしまうのは彼女も大好物だから。そういえばきょうのことばでそんな会話したなぁなんて頭を過りつつ、約束を覚えていてくれた彼に嬉しそうな表情を綻ばせながら。)おいしいお店知ってるの?てゆか、黛くん眠そうだけど大丈夫ー?(クスクス笑いながら、用意していたリュックを肩にかけて、)

えーっ!?えー!えー………………いいよ(イイ声で)

(元来気まぐれで、やる気の落差が激しい性格のこの男、今日は朝から常時オフモード、もとい省エネ運転だった。まだぼんやりしているから、立ち上がった瞬間若干ふらっとしたが、それは割りとよくあること。きっと彼女と談笑しながら歩いていれば冴えてくるだろう。これからの時間が黛にとっての1日の始まりのようなものである。)いやー机が勝手に動くわけないっしょ、篠井さんってオモシローイ。(自分の所為で驚かせながらも、悪びれた様子は一切見せないでフッと小さく笑み零し。ともわれ彼女も乗り気だったので嬉しそうに「いこいこー」と返し。)おー任せろ。ん、篠井さんと話してたら覚醒するからだいじょーぶ。(へらりと笑い。彼女の帰り支度が済んだなら、教室から校門へと向かいつつ、)あ、屋台とカフェ、どっちがいい?ちなみに屋台だと命がけな気がする。(照りつける太陽へ目線をやりながら、声色は冗談ぽく。)

わーい。じゃあプラス50円で生クリームたっぷりで…!(笑)

う…、オモシローイって若干馬鹿にされている…?(彼の言葉に細い眉が小さく下がり、眉間に少し見える皺。それと同時に膨らんだ頬も続く言葉にすぐに萎む。食は彼女にとったら何よりも楽しみなのが露わになるようで。)あたしと話してたら覚醒するってことは黛くんが覚醒するようにしゃべりかけたらいいってことだよね!任せて!(どこかずれている。周りで聞いていた友人たちがそう感じるのも無理はないはずだが、彼女にとったら精一杯のこと。さて、彼とどんな話を楽しんでいこうーーそう頭の中はいっぱいである。教室を出た後は彼の背中を後ろから追いかける。)命がけの屋台…よりカフェがいいかな〜。(視線からなんとなく察した。命がけの屋台もどこか興味はあるがさすがにこの暑さではやめたほうがいいのだろう。そう彼女の頭に赤信号が鳴る。「ねえねえ。ちなみに屋台とカフェはどっちのくクレープがおすすめなの?」と一応尋ねようと。)

ちょっおま(笑)少しずつ上げてくのはずるいぞー

若干どころか盛大に馬鹿にしている?(語尾はマネして疑問形だが、要は肯定である。眉間に皺を寄せる彼女とは相反するように、男はニコニコと楽し気で。膨らんだ頬を突いてみようかと思ったがすぐに空気が抜けてしまって若干残念に思いつつ。)そーそー、篠井さんのトークスキルがココで試されるわけだ。ってか案外マジメちゃんなんだね(なんというか、想定外に気合が入っているように見えて元々彼女に抱いていたイメージと少し違った。歩きながら彼女の意見を聞きつつ、)やっぱそうだよなー、日焼けすんのもやだし。(まさか命がけに興味が沸いたなんてゆめゆめ思わないので女子らしい返しにサラッと同意して。)まー俺のオススメは屋台だよね、クレープってやっぱ食べ歩きが一番おいしーし。けど今までの経験上、女子からはカフェの方が人気なんだなー。(話しながら下駄箱でローファーに履き替え学び舎を出ると、さっき見ていた日光が直に当たる)はー…これはヤバイ…。夏だねぇ、篠井さん(真夏に長袖パーカーと、見るからに暑そうな格好で、いかにもダルそうに声を掛けて。)

あははー!ばれたか♡

盛大に馬鹿にするとか…黛くんしつれい!もう絶対ノートみせてあげない。(むう、と言葉が聞こえるかのように大きく頬が膨らんでしまう。一度もお願いされたこともないけれど、口から飛び出した言葉を早口で伝えれば、どこか勝ったと思うのは負けず嫌いな証拠。)…そうだよ、まじめちゃんなんだ。だから黛くん何か面白いことしてよ。(なんて無茶ぶりを平気でしては、期待の眼差しなんかむけてみて。)確かにクレープは食べ歩きなイメージするかも。それでたまに落としちゃったりなんかしちゃうんだよねー。…って黛くん女の子といつもデートしてるの?(横目でちらりと彼を見ながら、疑問を口にして。肯定されれば、特に不思議に思わないのは彼へのイメージなのか。それでも初対面だった彼に少しずつ素の自分を出せている証拠。ー一緒に靴を履きかえれば、再び彼を追いかけて。そして彼を見ながらぽつりと。)…真冬の恰好みたい。(男子力、それとも女子力高い彼にくすくす笑いかければ、「ねぇねぇ、もうつくー?」とそう問いかけて歩こうか。)

篠井さんが小悪魔キャラだったなんてー、聞いてないー

(ぷくっと膨らんだ彼女の頬を人差し指で軽く押して、空気を抜きつつ小さく笑って)ごめーん、ちょっとした出来心だから、ご機嫌なおしてっ(語尾にハートマークが付きそうな甘え声で、こてん、と首を傾げて。今までにノートを見せてもらった記憶はなくても、こういう時は素直に謝るのだ。)え?ちょい待って、篠井さんが面白い話するってゆー流れじゃなかったっけ?(まさかの無茶ぶりに、ぱちぱちと2回瞬きして。)あーあるある。アイスとかトッピング多いと落ちやすいから要注意だねー。んー、デートはしてないよ?一緒にスイーツ食べに行ったり遊んだりはするけど。(女子と二人きりで会うことは、はた目から見れば立派なデートだけど、黛にとっては普通のことで。)夏の長袖はめちゃ暑いけど、日焼けすんのやだし、しょーがない。(もうつくか、という声かけに「もーすぐだよ」と笑いかけ。大通りから一本狭い道に入ったところで、クレープカフェの看板が見えた)ふー、暑かったねーおつかれ。(ドアを開ければ「どーぞ」と先に入るように促して)

小悪魔キャラだなんてはじめて言われたもん(笑)

…う。そんな甘い声だしたってノートみせてあげないんだから。(再びバカにされている、なんて思いながら篠井の機嫌は悪くなってしまう。けれど素直な言葉にどこか許してしまう自分がいるのだ。)黛くんの面白いお話しに面白いツッコミをするっていう流れかと思ってました〜。(そうだっけ、とすっとぼけて見せ。けれど彼への期待の眼差しは変わらない。)一緒にスイーツたべて、遊ぶってデートって言わないの?…そういうものなのか。じゃあデートの定義って何なの?(そもそも異性との関係性が少ない篠井にとったら頭の中で飛び交うハテナマーク。世間だとそれが普通のことなのか、そう素直に思いながら疑問を投げかけた。)日焼け予防…男の子って焼きたいぜっていうイメージかと思ってた。黛くん実はおんなのこ・・だったり?(じっと彼の全身を眺めながら、へらりと笑いかけながら。−−「わーい、ありがとう」ドアを開けてもらえれば素直に中へ。そして彼の優しさに感謝しつつ、店内を眺める。)かわいいお店だねー。さすが黛くん!おすすめの味は何なの?(案内された席に座れば、メニューを眺めながら)

隠れ小悪魔とかタチ悪いぞー、オープンにしよーよ(笑)

えぇー…こんなに可愛くお願いしてるのに?非情だ…(しゅん、と落ち込んだフリ。)なんだその流れーウケる、けどなんで俺がボケなの?俺はどっちかってゆーとツッコミだと思うんだけどー。(突飛な発想にくすくすと笑うがポジションが気にくわない、期待の眼差しから逃げるように目をすいっと逸らし)えっ、定義?なんだろーね?目的の違いとかじゃね?スイーツ食べたいから女子と行くのはデートじゃないけど、女子と一緒にいたいからスイーツ食べに誘うのはデートみたいな?あ、そしたら今日のはデートだ。(黛自身もきちんと考えたことはないのだが、彼なりの答えを求め。今日はデートと結論付ければふふっと妖しく笑ってみせて。)あークラスにもいるよねー、焼きたいぜ男子。俺あんま肌強くないし、何より似合わないから美白男子でいるわー。けど断じて女の子ではない!(冗談交じりなのだろうが、語尾強めに言い切って。)そーそー、なんかやたらメルヘンな内装なんだよね、俺は全然落ち着かないけど。(なんだか嬉しそうな彼女に自然と笑みを浮かべて。メニューをぱらぱらと捲った後、生地の中央にたっぷりクリームの乗った、ベリー系のクレープを指差し)これが人気かな…俺はアップルシナモン推しなんだけどねぇ(頬杖突きながらへらりと笑い)

黛くんも何かオープンにしてくれるのなら、いいよ!

黛くんこそ…小悪魔キャラだ。それか捨てられた子犬…。(騙されない、そんな眼差しを向けながら横目でチラリとにらみつけ。)黛くんツッコミ希望なの?えー…ボケっぽいのに。ほらほら、可愛い女の子がお願いしているぞー、なんて。(逸らされれば、こちらも負けじとお願いアピール。彼の袖をクイッと引っ張るのは篠井が諦めない証拠。それが小悪魔、と言われても仕方ないのかもしれないが。)それは殺し文句とか言うやつなのか。…黛くんずるい。(普段聞きなれない言葉を言われてしまったならば、勿論普段見れない彼女の表情がそこにはあった。照れ隠しをするかのように、視線は宙を舞う。しかし直後、「でも女の子といたいのはいつものことで、いつもデートなんじゃ…」なんて怪しそうに彼を眺める。)そうだよね、女の子じゃなくてよかったー。(ふはり。可笑しそうに笑いかければ、)メルヘンは女の子の夢ですからねー。落ち着かないのに、付き合ってくれる黛くんは良い人だね。(店内へ入った瞬間から、彼女の頬は緩みっぱなし。それだけ楽しい証拠。彼と共にメニューを覗き込みながら、「どれもおいしそうだね」。また頬が緩む。)うー…ベリーも好きだけど。じゃぁ黛くんおすすめのアップルシナモンにする。何よりアップルもシナモンも好き!(力強く飛び出した言葉から、彼女の中では決まったも当然かのような口ぶり。そして教えてくれた彼に感謝の眼差しも忘れずに。「黛くんは何にする?おすすめ教えてあげられないけど」と苦笑を浮かべながら覗き込みーー)

えーーーーそれはやだーーーー

俺が小悪魔?いやぁ〜それほどでも。(睨まれているのは一切気にせず、まるで褒められているかのように振舞い)あーでも確かにボケっぽいって言われるー。お笑いのボケじゃなくて、ガチでボケてる方だけど。(袖を引っ張るあざとさに、乗ってみようかと一瞬考えたがやっぱりめんどくさいのでやめた。代わりに少しだけ意地悪をしよう、だなんて。距離にして僅か数センチ、あと少しで鼻と鼻がくっつくくらいまで顔を近づけ、「やーだ」と笑って一言。つん、と彼女の額を人差し指でつつくと顔を戻そう。)えー?そうかな、篠井さんだって十分ずっこいと思うー。(同じクラスにいながら今日まで彼女のことはよく知らなかったが、黛は自分の可愛さを上手に活用する子、と認定した。)いや俺を女好きみたいに言うのやめてやー、甘党の友達が女子しかいないだけだから。(心外、という様にムッとして。「だからいつものはデートじゃないの」と加える。)あ、よーやく俺が良い人とゆうことに気が付いたか、遅いよー篠井さんー。(と言いつつへらへらと笑い)そっか、よかったー。シナモンって意外と苦手な人多いからどーかなって思ったんだけど。(自分の意見が採用されれば心なしか嬉しそう。「俺はベタだけどチョコバナナカスタード」とメニューを指差して答える。呼出しボタンを押して店員にオーダーを伝えると。)そーいえばさぁ、篠井さんって家どの辺なん?(と、待ってる間に雑談を)

やだとかいってると黛ファンが泣いちゃうぞ。

…そうだった、黛くんはそんな人だった。もー、褒めてないしっ!!(言葉を返すのも疲れた、そんな表情。悔しそうに大きなため息を。「いじわる黛クンだ」とぼそりと聞こえるか聞こえないかの小声でそう付け足すのだ。)ガチのボケはかー。否定できない。良い意味で天然ってことですね。(うんうん。ここは納得するかのように頷いてみせ。その時、ふいに近づく彼の顔。その一瞬に即座に反応できなかった篠井の表情はきっと驚いたもの。そして間抜けだったはず。ー「・・くそう。」また意地悪された。彼女の悔しそうな、そして恥ずかしさもまじったそんな表情が続いた。)あたしは黛クンみたいに異性慣れしてない、もん!(先程の彼のように開き直ろうかとふと頭に浮かんだが、返した言葉はただの精一杯の一言。)じゃあ今度校門の前で甘党の男友達募集っていう張り紙貼っとくとよいかもですねー。(へらりと笑いながら、冗談か本気かそんな口ぶりで)良い人だけど、意地悪なのは否定できないけどー…って黛クンのチョコバナナも良いですね〜。(彼女の頭の中はそのうちくるであろうクレープで頭はいっぱい。先程まで言い返していた口調はどこへやら。緩い口元が動く。)あたしの家?えっとねー…って教えたら黛くん毎日送迎でもしてくれるんですかね?(なんてふと浮かんだことを問いかけてみて。)

黛ファンなんて元からいないからだいじょーぶ!

そーそー、俺はそういう人だったよ。小悪魔はホメ言葉っしょ。(彼女のツッコミにへらりと笑い、付け足された小言は聞こえないフリ。)ん?天然?どっちかってゆーと、おじいちゃん的な感じじゃね?(日頃から頭を使わないのでボケてきていると自覚もあり。一気に近づけた顔を離すとき、思った以上に驚いた様子の彼女を見て少し意地悪が過ぎたかと。あちゃー、なんて効果音が付きそうな表情を一瞬だけ浮かべて。)そーなの?なんか篠井さんってみんなと仲良いイメージあるし、私ウブだよ!ってゆう演出かと思ったー、ごめんごめーん。(一応悪いとは思って謝ってはいるが、随分さらりとした言い方で。)えー、今から友人の輪を広げるのめんどくさい。スイーツ友達には不自由してないしー。今後は俺が甘いもの食べたいとき篠井さんも付き合ってくれるんでしょ?あと俺いつもは意地悪じゃないよ、さっきは篠井さんが面白いからちょっとからかっちゃっただけー。そーそー、どこにでもある定番のやつだけど、こーゆうお子ちゃま向けのが一番好きなんだよねぇ。(先とは打って変わって穏やかになった彼女にほっとしつつ、柔らかい笑顔で。)うん。今更聞くのもなんだけど、もしかして此処と反対方向だったかなって。え、送迎?俺が迎えに行くの待ってたら篠井さん毎日遅刻じゃね?(ぷぷぷ、と笑いながら。程無くして、大きな皿に華やかに盛り付けられクレープが二つ運ばれてくる。ナイフとフォークが2セット入った、ラタン素材のカトラリーケースがテーブルの中央に置かれると、店員は一礼して去っていき)おー来た来た。篠井さん、せっかくだから俺のもちょーっとだけあげるよ。(どーぞ、と彼女側に少し皿を滑らせて)

じゃあ黛くんファン募集の張り紙もしとこう。

わたし一生黛くんに口で勝てない気がする。(上手く交わす彼の反応にもはや諦めモード全開。彼女の口は萎んでいくのだ。)黛くんまだ高校生なのに、いつの間におじいちゃんに。まゆじぃ?それともー・・って黛くんの下の名前は何ていうの?(クスクスと可笑しそうに口元から笑みが零れる。ふと、そういえばと彼に疑問を投げかけた。同級生で苗字は知っていても名前までは全員把握しているわけではないため、どこか申し訳なさそうにだが。一瞬だった彼の表情に言いすぎたのかななんてこちらも申し訳なさが入り混じる。「・・ちょっとびっくりしただけなんだよ、うん」とぼそぼそと訂正しようと。)・・やっぱり黛くんに優しくしない。そしてみんなとまだ話せているわけじゃないから、仲良しになれてないもん。(前後撤回。ぷくー、と余計に膨れる彼女の頬の風船はもはやはちきれそうだ。)わたしが付き合うのって拒否権ないよね絶対。篠井さんひまでしょーって拒否する前に連行されそうだよね。…別にいいけど。からかうのは…1日1回だけにしよう!そうしよう。(それはからかっても良い、そう言っているように聞こえるのだが本人は全く分かっていない様子。ぽんぽん言い返される言葉に必死で言い返す口は相変わらず一生懸命。ー彼の緩まる表情に、そんな表情もするんだなーなんてどこか照れてしまうが、それは慌てて隠そうとし。)反対方向じゃないし、大丈夫だよ。あ、そうだった。黛くんと行ってたら遅刻よりも大遅刻だ。あ、黛ハウスはどこらへんです?(ぽん、と両手を打っては納得したようにふふ、と笑みを浮かべて。ー運ばれてきたクレープに「うわー」と感激の声が響く。黛くんおいしそうだねっと連呼しながら視線がクレープにくぎ付けなのだ。)ええ、黛くんありがとう!実はちょっと気になってたです。(えへへ〜と嬉しそうに笑いながら小さなフォークで遠慮気味にちょっとだけ頂いて。それを口に入れるなり、「おいしいよ〜」という、いつもより高い口調の声が重なる。)あ、黛くんもわたしの一口どうぞ。なんならあーんとか大サービス付きです、なんて。(すすっと自分の前に置かれたクレープを彼に差し出しては、にっこり。さて彼はどんな反応をするのだろうかーー)

自分からファン募集するとか痛すぎるでしょ(笑)

そー?普通口喧嘩って女子のが強いけどねー?まゆじぃってなんか眉毛みたいでウケるー!見た目は高校生、頭脳は大人、その名もまゆじぃ!ってゆう推理漫画が出来ちゃう。(彼女と一緒にぷぷぷ、と笑って。名前を聞かれれば「知らないんかーい」と緩くツッコミ)龍海だよ、た・つ・み!ま、俺も篠井さんの下の名前知らないけどねー。(へらり)(黛の表情で気を使わせてしまったのだろう、ぼそぼそと話す彼女に「あー、うん、わかった」とだけ)えー、俺にはいつも優しくしてよぉー。ふーん…けど篠井さん愛想良いし、話せばすぐ皆と仲良くなれんじゃね?(「おー、また膨らんだ」と本日3回目となる彼女の膨らむ頬を見て呑気に笑い。黛に最早反省の色はなさそうで。)拒否権なくはないけど、半強制みたいな?あっ、でもいーんだ?篠井さんも何だかんだ言ってスイーツ女子だなー。ぷ、1日1からかいはOKなんだ、夏休み明けが楽しみだなー。(一生懸命な彼女が面白くて、軽い冗談だが呟くようにそんなことを。)それならよかったー。そーそー、だから俺と一緒に登校しようなんて思わない方が身のためっしょ。え、俺んち?ここのすぐ近くだよ。学校からだと歩いて3分くらいかかるかも。(高校は距離で選んだからー、とへらりと笑い。クレープを見て嬉しそうな彼女に、黛も一緒になってニコニコと「うんうん、おいしそーだね」とこたえる)はいはいどーいたしまして。あ、そんなちょっとでいいんだ?(確かにちょっととは言ったが、それは黛の予想よりも少なくて、思わず声に出し。美味しそうに食べる姿に誘ってよかったと黛も嬉しそうに。彼女の提案が意外で、一瞬驚いたような表情をしたが、差出されたクレープを見つめて、ふっと小さく笑い)んじゃーそのサービス、せっかくだからお願いしよーかな。(こういうのは照れたら負け、と自分に言い聞かせ、あーん、と口を開き)

あの人何しているんだって思われそうだね。

確かに女の子の口喧嘩は強いけど、黛くんはそれ以上なのかもですね。ウケるーってどこぞのギャルですかってツッコミたいし、その漫画絶対流行らなさそう。(ふはり、と盛大に可笑しそうに笑えば、彼のツッコミにもまた笑みが零れてしまう。楽しい、そんな気持ちが心を踊る。)たつみクンね、もう覚えた。篠井さんの名前はきっといつか良い意味で有名になるからその時をお楽しみにーだね。(なんて適当に根拠のない事を口にしながら、厚顔な舌先も跳ね返ろう。)突然褒めて…黛クン何もでないけど。(揶揄われるのも悔しいが、褒められるのもどこか納得いかない自分に素直じゃないななんて頭を過る。)半強制でも、スイーツのおいしさには負けちゃうし。…あれ、そんなこと言ったっけ。今のは忘れて。そして夏休み明けは黛クンもあたしも補習で忙しいハズ。(慌てて訂正しようと、そして現実が押し寄せるのは目に見えていた。)3分で遅刻って…どれだけぎりぎりまで家にいるの黛クンは。(どこか呆れ気味で呟きながら彼との登校は最初から諦め。単位落とさないようにね、なんて心配の言葉も付け加えた)うんいいよ。いっぱい貰うの悪いし。(へらりと笑いながら、口の中には甘いクレープの味が広がる。−冗談で口にした言葉にまさかノッてくるなんて予想外。後には引けなくなった篠井だが、こちらも同様負けず嫌いな性格なのか今更なんて、とは言えなくて。ゆっくりと手元のクレープを彼に近づける。「あーん」と小さな声で彼の口元へと寄せた瞬間、周りにはどのように自分たちが映っているのか。そんな事が頭を過りつつ、恥ずかしさだけが残った。)

それな。篠井さん俺の事はめようとしてる?

いやいやそんなワケ無いって。女子って頭の回転早いじゃん?だから俺が何言っても鋭く返って来ると思うんだよねー。えぇーウケるってギャル語なんか。じゃー今度からワロスって言う事にしよっと。(ワロスワロス、と珍しく声を張り上げて発生練習。)そそ、たつみ君。ちなみに英語にするとドラゴンオーシャンね。かっこよ。 えー、有名になるってどゆこと、表彰でもされちゃうワケ?(てっきり名前を教えてもらえると思ったのにまさかの返し。その自信ある発言には猛々しさすらすら感じるが、根拠なんて無さそうだと思うと、ぷぷ、とこらえ切れず噴き出して、もう少し掘り下げてみようと。)いや褒めたとゆうか、同じクラスで過ごしてみて思ったことを言っただけだけどー…こーゆう時は素直に受け取っとけば、腑に落ちないなんて顔してないでさ。(つん、と彼女の眉間を人差し指でつつくと、ねー?と緩く笑い掛けて)はいはい、忘れます。忘れる努力はするけど、あんま期待はしないよーに。(曖昧に言うが、つまりはしばらく忘れないよ、からかいますよ、という事なのだが。)え、補習とかやんの?俺はヤダよめんどい。全力で走れば1分以内に着くって思うとギリギリまでだらけるんだけど、実際には登下校で全力で走るなんてしないからー。(単位を案ずる言葉には、「その辺は上手くやるからへーきへーき」と。面倒事にならないよう計算はする奴だ。だらけるための最低限の努力という、どこまでも自堕落な理由で。―そっとクレープを差し出されれば、大口を開けてぱくっと一口。いざやるとなると彼女にも照れがあるのか、提案してきたときの笑顔は今は無くて、それを見て黛にも急に恥ずかしさがこみあげてきた。口に含んだクレープを飲み込むと、ふいっと顔を外して「どーも」なんて、ちょっと素っ気無く映ってしまうかも。そしてじんわりと顔が熱くなるような感覚が。ちら、と彼女へ目線だけを向ける、どんな顔してるだろう、軽い観察のつもりで。)

篠井さんそんなことしません、よー!

黛くん、何か女の子との関係でトラウマでもあるの?ワロスに何故かワロスしちゃう・・悔しい!(連発する彼の隣でお腹をかかえながら笑う其の姿。言っている事と自分の身体のギャップにまた可笑しくなってしまうのだ。)英語にしなくてもいいのに、言いたかったんだね、黛くん。あ、ドラシャンくんとか?(ふはりと笑いながら話すその言葉と共に、以下省略なんて言葉が後に続く筈。)…表彰はされちゃう…かもしれない。(適当に口走った発言に突っ込まれては、彼女の負けず嫌いがここでも発動してしまう。しかしこれ以上突っ込むなとうオーラ全開でじと、と彼を見つめて。)うん・・じゃあありがとうです。(緩む頬と共に、笑顔を彼に向ければ、言われた通り素直にそれを心に染み込ませた。)絶対努力しないやつ…。(諦めた降参と言わんばかりに手をひらりと振りながら彼を見つめ、小さなため息を1つ。)黛くんの生き方、人生が分かったような気がする。とりあえずわたしは黛くんが留年しないように願っておきますねー。(そこが彼の器用さなのか、長所というべきなのかはいまいち理解できないが、こんなに面白い同級生が留年になってしまっては、寂しい気持ちになるのは分かっていること。それでも彼は上手くやるだろうが、労いの言葉を添えれば両肩を優しくポンと叩き。)…何かごめんです。調子のりすぎちゃった、かも。(先程とはうって変わって、変化するこの空気感。強気な彼女の姿なんて無く、たどたどしい其の言葉と共に、染まってしまっているかもしれないその頬を隠すかのように両手を自分の頬に添えれば。−その時、ふと交わる彼との視線。こみ上げてくる恥ずかしさと共にすぐに視線は逸らされた。次に話す其の言葉がなかなか口からでてこなくて。)

……………ほんとに?

トラウマってほどじゃないけど、女子に論破されたことは結構あるぞー。ワロスにワロスされたらこっちも更にワロスしちゃうな。(ツボにはまったのか良く笑う彼女を見ると、黛も楽しくなってきて、一緒になって笑って。)最高に中二病っぽくてかっこいいっしょ。でもドラシャンなんて言う人初めてだわー、なんかポケモンみたいじゃね?(タイプは絶対にドラゴンと水だなー、と独り言のように。表彰、という言葉に語気が弱くなった気がする。あ、やっぱりな、とちょっとだけ勝った気になる。送られてくるジト目は涼しい顔で流す、どうせ教室で名前は確認できるのだから。)てゆうか忘れようと思うってことは、そのことを考えてるってことだから、そーゆう努力してる時点で忘れられないよねー。(自分から努力すると言っておきながらこの発言、我ながら見事な手の平返しで。)そー?頑張らないために頑張るのは得意だから留年はしないだろうけど。俺の進級を願うなら初詣と七夕と両方で頼むよ。願い事考える手間が省けて良かったねー。(怠慢な黛を心配してくれているのがよくわかる、軽く肩を叩かれれば二コリ笑顔を彼女へ向けて。けれどもなんとも可愛くない要望を伝えた。)―さっきまで和気あいあいと談笑していたのに、急にしおらしくなったのはさっきの態度のせいだ。謝られるとこっちが居たたまれなくて。一瞬目が合ったけれどすぐに逸らされてしまった。ただ、両手で頬を隠す姿に更にドキッとしてしまって、きっと黛の顔は赤くなっている事だろう。)や、篠井さんが謝ることないよ。俺の方こそごめん。あー、なんてゆーか…かっこわるー。(あはっ、と苦笑いをして頭に手をやる。くしゃっと髪を握ったかと思えば)とりあえず、食べちゃおーよ。(できるだけ普通に言ったつもりだけど、また少し気まずさを残したまま。)

うん、約束ー!ゆびきりげんまんー!

…がんばれ、黛くん。今日1日ワロスが頭から離れないかもしれない。(なだめるかのように彼の肩を軽くポンと撫でながら、そう言葉を告げつつ。最後はふはりと笑顔を零し)黛くんは実はポケモンの仲間だったってことですねー!あ、ご主人様はわたしだったり?なんちゃって。(彼の独り言には分かるー、と何度か頷いて同意しながら。「必殺技は何だろね?」と口角を緩めながら無茶ぶりも楽しむのだ。)あ、本当だ!すごい黛くん、全然気づかなかった〜(驚いたように目を見開きながら、彼を尊重するかのような声で発するその言葉。一緒に両手で拍手する行為も重ねつつ、意味を理解するのには十分時間が必要そうで。)せっかくの初詣と七夕で黛くんの将来をお願いするのー?やだーめんどくさいー。なんてね。(ゆるりと揺れる眉と共に、わざとらしく最後は彼の口調でそのまま告げようか。「あ、でも大物になってわたしに恩返ししてくれてうれしいなっ」なんてこちらも可愛げのないお願いを1つ。)あ、黛くんはかっこいいよ!(いつもよりは強い口調で咄嗟にそう告げる。ただ否定したかっただけで、言い終えたと思えばふと我に返ったかのように「あー…何ていうかうれしかったデス。」とぽつりと呟きながら再び視線が揺れる。その意味は彼にした行為なのか、彼の反応なのかー‥上手く言葉にはできないが。両手を頬に添えながら、ちらりと彼に視線を戻し、次の言葉を聞けばこくりと小さく頷いた。ただ、彼との居心地の良さを感じながら。)−…ごちそうさまでした。(食べ終えた満足感を十分に感じた彼女は両手を静かに合わし。再び彼を見れば、「黛くんこの後はどうしますー?」とこてりと首を傾げながらそう問いかけて。)

嘘ついたらハリセンボン!

おー、がんばる予定はないけどありがとう。(肩を撫でられながら送られるエールは受け取っても応える気はないらしい、相変わらず無気力である。)篠井さんが俺のご主人様だったら多分命令聞かないだろうなー、何言われても多分ずっと寝てる。(黛がポケモンならご主人様は彼女でなくても、結局誰であっても命令は聞かないのだろうけど。「必殺技は何だろなー、もうワロスでいんじゃね?」と技にしても効果もわからないような単語を挙げて。)えっマジで?すご…くはないよ、うん。篠井さんってなんかアレだね、めっちゃピュアだね。(てっきりツッコミが来るんじゃないかと想像していたのに、まさか褒められるとは思わなかった。拍手までされてしまえば、彼女とは違う理由で驚き目を見開いて。)おいー、俺の口癖真似するなよー。(めんどくさい、その妙に間延びした言い方は紛れもなく俺の真似だと真っ先に気が付いて、それにツッコミを入れる口調もやっぱりいつも通り間延びしていた。「そーゆー所はちゃっかりしてるよねー、マジで。」と笑いながらも肯定も否定もしなかったのは多分、自分は絶対に大物にはならないという変な確信があるからだろう。)えっ…(まさかの返しに一瞬停止する。それくらい意外な言葉で、しかもはっきり言うものだから驚いた。)うれしかった、って何。寧ろ嬉しかったのは俺の方じゃん?女子に食べさせてもらえて。(早口で一気に言い切った。だってさっきから予想もしない言葉が飛んでくるから、珍しく動揺してしまった。止めていた手を動かし、全て平らげたなら「ごちそうさま」と彼女に続いた。)んー…俺は帰って昼寝するかなー…篠井さんは?(彼女が帰ることを選択しても、寄り道を選択しても、会計を済ませて店を出たら途中までは一緒になることだろう。クレープの誕生日プレゼント、喜んでもらえた…っぽい?ちょっと自信はないけど、これはこれで良い思い出になったかな、なんて思った昼下がり。)