子どもは風の子元気な子

(昼休みも中盤に差し掛かった昼下がり。中庭の木の根元に背中を預け足を投げ出して腰を下ろしている人物が一人、気持ちよさげに日光浴をする姿が見えた。横にはお弁当の包みとお菓子が入ったビニール袋。天気は良いが、日光浴をするには風が冷たいのだがお構いなしなのだろうか、目を閉じてうとうとしているるようだ。うとうとしているその右手にはポッキーの小袋が握られている。少しばかり時が過ぎればビクッと肩を揺らし目を開けた。そして何事もなかったようにポッキーを食べ始めるのだろう)ポッキーうまー。寝むっ。(呟くとまた目を閉じた。だが口は休むこと無くお菓子を迎え入れよう)

ゆみはオトナだから火の子かな〜。

(すっかり出し忘れていた提出物を献上した帰り。担当教諭を探し回った所為でのんびり昼食を楽しむ時間もなくなり、せめて場所だけは其れらしい所でと考えた結果中庭へ訪れた。紙パックのミルクティーを飲みながら、落ち着ける場所を探して辺りを見回していたら。)……??(眠りながらお菓子を食す少年がいた。暫く様子を伺っていたが、彼が目を開けた瞬間咄嗟に身を隠し、良からぬことを思い付いた。縮こまるように肩から掛けた膝掛けを手繰り寄せるとそのまま丸まるように屈み、端整な顔立ちの目元を窺う。その瞼が閉じられていることを確認すれば、そうっと忍び足で近付き、彼が気付かなければそのまま右手に握られた小袋に手が伸びるだろう。)

なんかファイヤー!って燃えてそうやん火の子って

(心地よい風が髪を撫でていく微睡みのなか、口だけは動き続けていた。近くで人の発する音が聞こえてくるが、ここは学校。人の往来があって当たり前で、しかも昼休みだ。気にする様子もなくモグモグとポッキーを迎え入れ続ける事に迷いはなかった。だがしかし、自分の近くに気配を感じカッと目を見開くのだろう)なん!!(素早く辺りを見渡そうか。すると屈みながら手を伸ばしているであろう女生徒が目に入った)うわっ!なに?え?どちらさ…(驚いた拍子に体制を崩しもたれていた幹から地面へと杵原の後頭部は流れ落ちそうになりつつも左手を付いて踏ん張ろうか)はーダブルでビビったぁー。おねーさんどないしはったん?良かったら1本どーぞ(へらっと笑みを浮かべつつ、彼女の手が伸びているのに気付けば右手に握られた小袋を差し出そう。中身が無事かどうかは持ち主である杵原にも分からないが)