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夕方の喫茶店、窓際で溜息を吐く少女が一人―) |
(学園は冬休みになった。とはいえ学校行事とバイトは関係がない。元々唯一の家族である母親は接客業なので、年末年始にバイトを休んだところで家に一人になるだけ。だからという事もあるし、バイトは嫌いではないし、友人は年末年始は家族や恋人との予定で忙しいらしい。この人手が足りなくなる機会に稼いでおこうという思惑がない訳でもない。そんな理由で今日も後藤はfreddieにいた。今日はオープンから夕方までのシフト、特に問題もなく仕事を終えれば裏で着替えながらこの後どうしようか暫し思案。今日は早番の母親と外食をする約束になっている。一度家に帰っても良いが、家と待ち合わせ場所の位置関係を考えると少し面倒だ。なのでこのままここで時間を潰すことに決定、荷物を持って店に戻ればスタッフに声を掛けて空いていた窓際のテーブル席へ座る。客としてここに来る後藤が注文するものはいつも決まってホットのカフェオレだ、程なくカップが運ばれてきた。いつも鞄に入っているファッション誌でも見ようかと取り出せば、先日学校で配られたプリントが一緒に出てきて。新学期早々にあるクラス分けテストについて書かれているそれを見て、小さな溜息を吐いた。)
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俺の友達の中で、ゆりあが一番溜息が似合うよ(笑) |
(冬休みに突入し学園に行くことはなくなった。が、通っているピアノ教室が学園界隈であり家から教室までの道中にはfreddieがある。いつもはレッスン後真直ぐ帰宅するが、今日は通常のピアノレッスンに加えて楽典学習もあったため甘いものが欲しくなってしまった。ココアでも飲もうかと自転車を停めて店内へ。長居をするつもりは無いので近くのカウンター席を選び、肩に掛けていたトートバッグを置いてコートを脱ごうとした時、窓際のテーブル席に見知った後ろ姿が見えた。…何処となく憂鬱そうに見えるが何かあったのだろうか。彼女の様子が気になるが悪戯心の方が勝ってしまった。バッグを再度掛け直してそろりそろりと音もなく近寄り彼女の真後ろに立ったなら、) わっ! (と、発すると同時に彼女の両肩を軽く叩く。それは決して大きな声ではなかったが間近でいきなり声をかけられたら驚く程度の声量だった。) | |
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何それ(笑)私そんなに陰鬱なキャラに見えてた? |
(年明けに行われるクラス分けテスト。勿論初めてではないし、成績が極端に悪い訳でもない。しかしテストや試験と名のつくものには決まって憂鬱になるのが学生というもので。プリントの要項を眺めながら年末年始には課題以外にも少しは教科書を開かなきゃな…なんて思っていると、突然叩かれた肩と掛けられた声。痛みを感じる程に叩かれた訳ではないが、後藤を驚かせるには十分で。肩を揺らしてぱちりと瞬きすれば、ゆっくりと後ろを振り返って。)……白鳥くん。久しぶり。(その顔を見て友人だった事を知れば苦笑して。彼の名を呼んで、空いていた自分の向かいの椅子を指し示して。)座る?(と彼を見上げて軽く首を傾げ。彼が座るというのなら、その間に出していたファッション誌とプリントを片付けてしまうつもりで。)
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陰鬱っていうかアンニュイだよね。…あ、一緒か(笑) |
声を上げずにびくりと肩を揺らす姿は予想より少々淡泊な反応だと思ったが、それでも驚いた姿が見られて嬉しかったらしい。苦笑する彼女とは正反対のとても楽しそうで意地の悪い笑みを浮かべた。)うん。久しぶり。(彼女の誘いに素直に頷き「お邪魔するよ」と彼女の向かいの椅子を引いた。肩に掛けたバッグは隣に置きコートのボタンに手をかける。ボタンを見ているようで視線はテーブルへ向けられていた。鞄の中に仕舞われて行くファッション誌と先日ホームルームで配布されたプリント…少し元気が無いように見えたのはその何方か、恐らくテストが原因なのだろうと予想していた。椅子に腰掛け、その時近くを通ったウェイターにホットココアをオーダー。)…で、ゆりあは何で一人でいるの?せっかくの冬休みなのにもしかして暇人?(喫茶店に一人でいることは珍しい事ではないし彼女が此処でアルバイトをしている事も知っている。バイト上がりに休憩していると考えるのが普通だが捻くれた言い方をしてしまうのは最早癖である。)
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白鳥くんはひねくれ者っていうか、素直になれないキャラ?(笑) |
(相変わらず…と言える程彼の事を知っている訳ではないが、少なくとも以前話した時の印象は「悪い人ではないし話していて楽しいけれど、少々意地悪な所もある」だった。だから、自分を驚かせた事に対する笑顔なのだろうと表情には出さず考えて。誘いに乗ってくれた事に僅かに口元緩め。現金かもしれないが、先程までの憂鬱な気分は少しばかり晴れた。片付けを終えれば彼がココアを注文する様子を見ながらカフェオレを一口。そして彼から問われれば、一人くすくすと笑って。)暇人と言えば暇人ね。バイト先はここだけどもう勤務は終わったし、夕飯は母と外で食べる約束してるけど、その間の時間は持て余してたから。中途半端に家に帰るのも面倒だったとも言うけど。白鳥くんこそ、休みなのに態々学校近くに来るなんて物好きね。(彼に対抗するように少しばかり捻くれた言い方をしてみて。楽しそうに笑みを浮かべながら話す様は決して嫌味で言った訳ではないという事を示したかったからだ。)
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えー、そう?俺自分では超素直だと思ってるけどなあ。 |
(本当になんとなくだけれども声を掛ける前と比べて少し彼女の表情が柔らかくなったように感じた。「ふーん」と頷きつつ彼女の説明を聞いている。やっぱりバイトだったのか。そりゃあそうだよなあ、と思考しつつ。)母さんと外食?いいね。フレディのバイト代で奢ってあげたら喜ぶんじゃない?…約束の時間まで、僭越ながらこの僕がお相手しましょう。(なーんて、と末尾に小さく付け加えてにこにこしながら軽く頭を下げて見せる。しかし続く彼女の言葉にすっと頭を上げて考え込むように)物好きかあ…俺が今日ここに来た理由はもしかしてゆりあに会えるかと思ったから…かな。(急に真顔になって彼女の瞳を真直ぐ見つめてみよう。友達はいえ常につるんでいる仲でも無いのに突然こんなことを言われたら困るだろう、我ながら意地悪だと内心。若干罪悪感を抱いたが、会えると思って来たのは嘘でも会えて嬉しいのは本当なのでそこまで的を外しているわけでもないし良いかと謎理論で自己完結させて。)
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多分、そう思ってるのは白鳥くんだけだと思う(笑) |
(己の説明を受けての彼からの提案に、少し考える素振り。今日の財布の中身を思い出せばこくりと小さく頷いて。)そうね、偶にはそういうのも良いかも。母には苦労かけてるし。…ありがと。(最後の言葉は提案に対してか、彼が相手をしてくれるという事に対してか。くすりと笑う後藤の表情からはどちらとも取れる。実際の所がどうなのかは言うつもりがないようだけれど。そして続いた彼の言葉にぱちりと瞬き。どうせふざけているのだろうと思いきや、彼の表情は真剣に見えて。瞳を真っ直ぐに見つめられれば一瞬どきりとして息を飲む。僅かな間をおいて視線逸らせば小さく息を吐いた。)………そういう冗談はどうかと思う。(怒っている訳ではないが、そっけない言い方は驚きと照れを隠すため。またカフェオレのカップを取って、彼から表情隠そうと。)
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え。……え?嘘でしょ?(これでもかと大きく開眼) |
…どういたしまして。(母には苦労かけてる…まさかそんな言葉が彼女の口から出てくるとは。高校生にしては達観しすぎているような気がして、もしかして只ならぬ背景があるのではなかろうかと余計なことを推し測ってしまう。小さく笑う彼女に何かを聞く気にはなれず此方も唯、笑みを浮かべて常套句を。――此方から仕掛けた意地悪に、さてどう事が運ぶか。期待と幾許かの不安を持ちつつも表情に出さないよう彼女の反応を待っていた。紡がれた言葉はそっけないが気持ち悪がられている訳でも嫌がられている訳でもなさそうだと感じ。)冗談…ねえ。君って全然デレないよな。私も会いたかったわ、とか言うところも見てみたいんだけどな。(冗談、という言葉に肯定も否定もしないまま、少し責めるような言葉をかけてしまった。そんな言葉とは裏腹に真剣だった表情は穏やかなものに。頬杖をつきながら柔らかく微笑む。丁度そのタイミングでオーダーしたココアが運ばれてきた。)
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……それ、わざとらしいわよ(くすくす) |
(後藤本人は自身が母子家庭という事をあまり気にしていない。だからなのだろう、何の気なしに口に出した言葉に彼が何を思うかなど気付きもせず。聞かれれば素直に答えるが、自分からこの話題を引っ張るつもりはないようで。彼から返ってきた言葉に嬉しそうに笑みを深めるだけ。――言葉の衝撃は落ち着いたのか、ゆっくりとカップをテーブルに置いて。)デレる自分って言うのがそもそも想像できないんだけど……会いたかったとは言わないけど、白鳥くんと会えて嬉しいとはこれでも思ってるんだけど?(言葉を聞けば口角上げ作り物の笑みを浮かべて冗談か本気かそんな返しを。彼の表情が和らいだのも気付いている、やはり先程の言葉自体に深い意味はなかったのだろうと思って。)
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そうか。こんなんじゃあ俳優になれないな。 |
(カップから離れ行く彼女の手指を目で追った所で、自らも運ばれてきたココアのカップを手に取った。口に含めば優しい甘さが巡る。…どうやら次に驚くのは此方の番らしい。返す彼女の言葉も表情も自分の知るものではない、といっても二人だけで話しをするのもまだ二度目だが。これは新たな一面の発見とでも云うのだろうか。ぐるぐると考えながら時間稼ぎでもするように両手で静かにカップを置く。目を伏せ手元の淀みを見つめながら、)…そう。(と、たっぷり間を開けてから小さく呟く。そもそも最初に話しかけた時点で、彼女の表情が緩んだのに気付いた時点で、疑う必要が無い事位解ってはいた。本音も真意も見えない彼女の笑みが一瞬気になったが、ここは素直にその言葉を受け止めることに。又、先程までの言葉が冗談であっても、これだけは本当だと伝えようと。)俺も嬉しい。(普段見せる邪気満点な笑みとは違う幼い笑顔で。頬に紅差したのはきっとココアの熱が伝わったから。)
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俳優目指してたの?(笑) |
(作り物笑みは長くはもたなかった。元々ちょっと彼に対抗しようと思ったっただけなのだ。彼を少しでも惑わせられれば十分で、それ以上は求めていない。自分の表情を想像して小さく吹き出す後藤に彼はどう感じるのだろうか?くすくす笑っていたが、彼の表情に気付けば自分の悪戯が間違っていたことに気付き。)……ごめん、ちょっと調子に乗った。けど、言葉は嘘じゃないし、白鳥くんの言葉も疑ってるわけじゃないわ。(僅かに視線下げて彼から自分の顔を見えないようにするも、こっそりと見上げて彼の頬が紅く染まっている事につられるように自分の頬も僅かに紅くして。そして先程よりも視線を下げる角度は深くなるのだ。この状況をどうにいかしたいと思いつつも、打開できるほど後藤の経験値は高くなく。)
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いや、正直考えたこともない(笑) |
(しまった、と思った。彼女に謝罪の言葉を紡がせてしまうとは。確かに少しだけ戸惑ったが自身は気にしておらず、新たな一面が垣間見えて嬉しい位なのだが。その様に思わせたのなら寧ろ謝るのは此方の方で)いや別に、そんな風には思ってない。てゆうかそれ位で調子に乗ったって言うんなら俺なんてどうしようもないじゃん。(こっちこそごめんとは言えない性格だから、代わりにふふっと笑ってみせる。続く彼女の言葉には「ありがとう」と呟く様に返して。――なんだか変な空気になってしまった。一瞬目が合ったと思ったが再び俯かれてしまっては彼女の表情は窺えない。再び頬杖を突き、視線は窓の外へと向けて「そういえば…」と、態とらしいが此処で話題転換を。)もうすぐテストだけど、勉強してる?(範囲が広すぎて何処を勉強して良いか分らないのは毎回の事。逆を言えば何処を勉強してもテスト範囲な訳で、案外気楽に考えて何気なく口にした一言。そういえば多分テストの事で少し落ち込んでたんだっけ、と気付いたのは言葉を発した後だった。)
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でしょうね(笑)なんとなく違う感じする。 |
……そう。なら良いけど。(多分、言葉だけでは上手くいかない。そう思った後藤は顔をあげて。ふ、と表情柔らかくして彼の顔を見た後、くすくすと笑いだして。)言われてみればそうね。前の時もそうだけど、どちらかというと私の方がからかわれてるんだもん、調子乗ってるのは私よりも白鳥くんの方よね?(笑う彼に冗談めかして言って、こちらも気にしていない事をアピールしよう。聞こえた「ありがとう」に言葉は返さなかったけれど、目元和らげて口角上げた表情を返して言外に伝わっていると返したつもり。――妙な空気になってしまった。それを打開してくれようとしたのは彼の方で。テスト、との言葉に反射的に苦笑。)多少はね。1組に入れる程勉強できる訳じゃないけど、私一般入試で入ってるからそれなりには勉強しないととは思うし。範囲が範囲だし、テスト前に一夜漬けってタイプでもないからそこまで心配しなくても良いのは解ってるんだけど、やっぱりテストって言われるとなんか憂鬱になるのよね。(テストと聞いて条件反射で逃げ出したくなる程ではないものの、テストが好きな訳ではない。「白鳥くんは?」と聞き返したのはなんとなくだ。)
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もうちょっと綺麗な顔してたら目指したかもなあ(笑) |
まあ俺はね、調子乗ってるよ。だってお調子者枠だし、仕方ない仕方ない。(顔を上げた彼女の表情が明るいものだったので此方も笑みを絶やさぬまま。今突然決めた枠に自分をはめて、お道化たように応えてみせた。――頬杖のまま彼女へちらと目を遣れば苦笑を浮かべていたので、地雷だったかと一瞬思ったが話を聞けば杞憂であった事に気付く。姿勢を正せば口を開く)なんだ、てっきり絶望してるかと思った。そしたら慰めてあげたのに(くす、と悪戯っ子の様な笑みを零し。)心配なくても心配するのがテストだよな、それはわかるよ。けど一般だから勉強しないとっていうのは偉いと思う。入っちゃえば一緒だからって遊んでばかりの人もいるのにさ。(少し間を開けて真面目な表情で「本当、ゆりあは凄いよ。」と感心したように付け加えた。続く彼女からの問いに、んーと少し悩んだ素振りを。)そこら辺の人たちよりは勉強してると思うけど。習い事はあるけど部活もバイトもしてないし。俺、ゆりあと比べると相当暇人だよー?(ふふふ、と可笑しそうに笑った後、カップを呷り「ごちそうさま」と小さく呟いた。)
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今より綺麗な顔になったら女性的になりそうね(笑) |
自分で言っちゃうのね。っていうか、お調子者枠って何それ?(彼の言葉が妙にツボにハマったようで。口元を手で隠して声を上げないようにはしているが、肩が小刻みに震えていれば笑っているのはバレバレだろう。――頬杖付いて外を見ていたように見えた彼だが、しっかりこちらの様子は伺っていた様子。それに気付けない程鈍くはない筈だが、姿勢正して口を開く彼になんとなく安堵感。)絶望するほどではないわね。私は。……白鳥くんの場合トドメを刺してから慰めそうな気がするのは気のせいかしら?(悪戯っ子のような笑みを見れば、訝しげな顔を返して。勿論後藤もふざけているだけだから、すぐに表情は戻すけれども。)推薦受けられる程特出するものがないから、勉強してるってだけよ。今は一応進学も視野に入れてるし。まぁ、今しか出来ない事もあるだろうし、入っちゃえば後は遊ぶのも一つの考えだとは思うけど……それに、高校受験の時だったかな。母にね、万遍なく勉強するのも今しか出来ないって言われたの。大人になったら人それぞれ分野に合わせた勉強はする事があっても、中高生みたいな勉強はしなくなるからって。それもあるかな。(凄いと言われれば「そんな事ないわ。」と緩く首を振って。凄いのは自分ではない、そう教えた母だと思っているから。)習い事って、ピアノ?私も部活はしてないし、ここのバイトだけだから意外と時間はあるわよ?(以前、彼のピアノに誘われて音楽室まで行った事があった。だから、彼が習い事と言えばそれが一番に浮かんで。決して自分が暇だと言わないのは一種のプライドかもしれない。彼につられるようにくすりと笑った後、カップを手に取って。飲み干してしまえば「御馳走様」と。)…私、そろそろ時間。白鳥くんはおかわりするの?
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そしたら男の娘でアイドルデビューだな(笑) |
ほら、誰にでも役割ってあるだろ?俺は調子に乗って意地悪なことを言うのが仕事なんだよ。職務を全うしてるってわけだ。(彼女の小さく揺れる肩に、その目付きに、堪えているけど笑っていると伺える。其処で更に調子に乗ったらしい。ふふふ、と笑いながら「いやあ、俺って真面目だな。」と言葉を続けた。)俺の周りには絶望してる人いたけど、ゆりあは元々真面目そうだしなあ。おっ、わかってるね。慰める前に息の根を止めるっていう工程は勿論あるよ。(そう言いながら彼女の懐疑的な表情に相反するように楽しそうに笑みを深めた。)ゆりあはそう思ってるんだろうけど世間的には逆かもよ。勉強できないから推薦狙う人だって沢山いると思う。…この先どういう風に生きていくかなんて人それぞれだもんなあ。俺も高校生の時にもっと遊んでればよかったって思うかもしれないし?(彼女の母の言葉を聞けば共感するように頷く。良いことを言う母さんだな、と思いつつ)ああ、確かにそうだね。今は頭の色んな所を使って勉強してるけど、10年後なんて脳の大部分が酸化してそう。(首を振る彼女。否定はされたが其れでも凄いとは思う。確かに母の教えだとしても、実行しているのは彼女自身だから。結局言葉にはせずに唯目を細めて表情を和らげた。)そうそう。ピアノ。よくわかったね。…けどゆりあはあれでしょ。お洒落とかでも時間使うでしょ。だから絶対俺の方が暇だと思うね。(彼女は自信を暇だなどと言わないのに変な所で対抗心を燃やしていた。)いや。俺はもう帰るよ。テスト勉強しないといけないしね?(ふふふ、と笑いながら応える。互いに会計を済ませれば「じゃあまた」と短く挨拶を交わして彼女は待ち合わせ場所へ、白鳥は真直ぐ帰路へと着くのだろう――)
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スカート履くの?可愛いの見つけたら教えるわ(笑) |
職務を全う…そんな職務ってアリな訳?(言葉だけならばきつめにも聞こえるかもしれないが、堪えながらも笑っているのである意味後藤が無理している事は彼には気付かれてしまうだろう。「真面目」との言葉付け足されてしまえばもう笑いを隠すことは困難で。小さく声をだして笑いながら、堪えていたせいで不覚にも溜まってしまった目元の雫をこっそり指で拭うのだ。)私の周りにも何人かいたけど、これが初めてって訳でもないのにって意見の方が多かったわね。1年生なら絶望もわかるけど。……やっぱり。(その言葉に集約された意味合いは、後藤の表情から彼にも推測できるであろう。呆れの中にも苦笑が混じっているのは、彼が後藤にとって憎めない相手だからかもしれないが。)そうなの?知らなかったというか、意外だったというか……そうね、もしかしたら思うかもしれない。けど、私は今のままで良いかな。まったく遊んでないって訳じゃないし。(彼が共感してくれたことに対して嬉しそうに表情緩めて。)10年後って言ったら26、7?その年齢から酸化とか言ってたら若いうちからボケるわよ。(なんて冗談を返して。彼の表情の意味はなんとなく通じたが、それをまともに受け取ってしまうには恥ずかしさが上回った。)前に聴いたから、それかなって。…まぁ、それはそうだけど。(彼も引かなければ後藤も引こうとしない。お互い頑固なんだろうなと思わないでもないが、そういうやり取りが彼との場合は楽しかったりもするのだ。)そうね、私も帰ったら少しは勉強しなきゃ。(互いに会計を済ませれば「またね。気を付けて。」と声を掛けて。帰路へ着くらしい彼の自転車を暫し見送れば、母との待ち合わせ場所に向かうべく、駅方面へと歩き出した。)
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