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滑って転ぶとかチョー恥ィ…
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(放課後部活を終え、着替えを済ませて帰ろうとした矢先、忘れ物に気づいて)まじかよぉ…ついてねぇわ。(3階の1年教室で目当てのものを回収し、"誰もいないからいいや"と廊下を走る。誰が零したのか床に水たまりがあり、気づかずに滑って派手に転ぶ。)うげぇ…最悪。(人気のない静かな廊下で、しゃがみこんで赤面する生徒が一人。)
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そうそれは、とてつもない悲劇の予感…!
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(教室のドアの影から覗く影――)…見てしまいましたよ…男子高校生の…粗相の瞬間を…っ!(わざとらしく身体半身をドアに隠し、物陰から覗く立ち姿を演出しながら)いくらトイレに生きたかったからって、廊下は走っちゃ駄目だと思う。その結果がそんな悲劇に見舞われるなんて…(ドアの影から哀れみの目線を送って)
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な、なんだってー!?
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(羞恥心に苛まれながらも、誰も見ていなかったというのが不幸中の幸い…と自分に言い聞かせて納得したところで、少女の声が耳に届く。はっとして振り返ると声の主は教室のドアから半身を覗かせている。)おっ、おまっ…!何見てんだよ!っつーかこんな時間になんでいんだよ!っつーか俺は別にトイレに行きたかったわけじゃねェし!?(体制はしゃがんだまま。あまりの恥ずかしさに顔を真っ赤にしながら、ビシっと貴方に指をさしつつ息継ぎなしで叫ぶように言い切る)
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まずは拡散される、そんな世の中だから。
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帰ろうとしたら漏らしてうずくまる人を発見しただけ。ワタシは…母星との交信のため、残ってたの。母星は遠いためちょっとタイムラグが会ってなかなか返信が来なくて、云々(云々まで本当に口に出して言った。だんだん説明がめんどくさくなったのだろう。いまだ半分だけの状態で、顔を真赤にして叫ぶ彼とは対称的にあまり表情も動かせず淡々とした口調だった。)冗談はさておき――(カラカラとドアを開け、)もしや少し濡れたのでは?大丈夫?(指を刺されたことにもさほど意に返さずと言った調子で首を傾げながら近付いて行き)
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お前ッ!今日のことは誰にも言うなよ!?絶対だぞ!?
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漏らしてねぇ!!っつーか…ぼせい?こうしん?たいむらぐ?んんん?(聞きなれない言葉の羅列に、完全に脳がついて行っていないようだ。いかにもハテナマークが浮かんでますよ、というような表情を浮かべる。眉間には皺が寄り、首を思いっきりかしげている。)え?……あ、いや。これくらいヘーキ。そのうち乾くっしょ。(先程とは打って変わって、突然心配されたものだから、面食らったようだ。号叫に近い威勢の良かった声もしおらしくなり、彼女に向けていた指は引っ込めて所在なさげに紅潮した頬を掻いている。)っつーか、ごめん。急に大声出して、しかも指さして。(申し訳なさそうに苦笑いしながら、立ち上がって傍らの貴方に視線を合わせた。)
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